超新星ニュートリノのエネルギースペクトルに関する研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14039210
• Research Institution: Tokyo University of Science
• Principal Investigator: 鈴木 英之 東京理科大学, 理工学部, 助教授 (90211987)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 住吉 光介 沼津工業高等専門学校, 教養科, 助教授 (30280720)
• Keywords: 超新星ニュートリノ / 超新星爆発 / 重元素合成 / ニュートリノ振動 / 原子中性子星 / r過程

Research Abstract

重力崩壊型超新星爆発の際、形成された熱い原始中性子星がニュートリノを放出して冷えた中性子星に進化していく段階の数値シミュレーションを、Shenらによる相対論的状態方程式とMultigroup Flux Limited Diffusion schemeのニュートリノ輸送コードを用いて行ない、放出される超新星ニュートリノのエネルギースペクトルを求めた。KamLAND実験などで示されたニュートリノ振動パラメーターを用いて、ニュートリノ振動の影響も調べた。この計算の対象となる超新星ニュートリノの後半では、フレーバー毎の平均エネルギーの違いが大きくないので、ニュートリノ振動の影響も限定的ではあるが、Super-Kamiokande、SNO、KamLANDなどでのイベント予測も行なった。さらに衝撃波が外層を通過する際の密度分布がニュートリノ振動に与える影響について、テストモデルを用意して調べた結果、断熱性の変化がニュートリノスペクトルに影響を与え得ることがわかった。
また住吉を中心として、山田のBoltzmann solverによるニュートリノ輸送コードを用いた、超新星コアの重力崩壊のシミュレーションを進めている。電子型ニュートリノのみを考慮した計算で、コアのバウンス・衝撃波の発生まで追えているが、まだ長時間の計算を安定に進めるための改良作業の途中である。
その他、寺沢らとの共同研究により、原始中性子星から放出されるニュートリノ風中の重元素合成についての研究も行なった。元素組成の観測を説明するためには、これまで非常に高いエントロピーや重い原始中性子星を仮定したモデルが必要であったが、ニュートリノ風の外部境界条件が重要であることがわかり、少し低温のモデルを考えれば、1.4M_<【of sun】>の原始中性子星でも良いことが明らかになった。

Research Products

• [Publications] M.Terasawa et al.: "r-Process Nucleosynthesis in Neutrino-driven Winds from a Typical Neutron Star with M=1.4M【of sun】"The Astrophysical Journal. 578. L137-L140 (2002)
• [Publications] H.Suzuki et al.: "Protoneutron star cooling with a new eauation of state"Nuclear Physics, Section A.
• [Publications] K.Sumiyoshi et al.: "Patterns of r-process in collapse-driven supernovae ; delayed or prompt mechanism?"Nuclear Physics, Section A.