2002 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌撹乱物質がヘルパーT細胞分化に及ぼす影響―アレルギー性疾患の増加との関連性―
Project/Area Number |
14042221
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
大嶋 勇成 福井医科大学, 医学部, 助手 (40303391)
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Keywords | Bisphenol A / Nonylphenol / Th2 / Th2 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
ヒト末梢血から分離したナイーブCD4陽性T細胞を内分泌撹乱物質であるアルキルフェノール類の存在下で抗CD3抗体とCD86のトランスフェクタントにより刺激し、活性化したT細胞を増殖させ、そのサイトカイン産生能を測定した。その結果、今回検討し得たBiphenol A, Nonylphenol, Octylphenol, DOPは1μMの濃度まではT細胞の活性化と増殖には影響を与えなかったが、Th1サイトカインであるIFN-γの産生は濃度依存性に抑制された。一方、Th2タイプのサイトカインであるIL-13の産生には、アルキルフェノールは有意の抑制効果を示さず、Bisphenol Aにおいては1mMの濃度でむしろ産生の増強が認められた。これらの結果は、今回検討したアルキルフェノール類がナィーブT細胞の活性化段階で作用するとTh1/Th2バランスをTh2優位の免疫応答の状態へとシフトさせる可能性が示唆された。 ナイーブT細胞に対する主要な抗原提示細胞となる樹状細胞に対するアルキルフェノールの影誓を検討するため、ヒト末梢血単球からIL-4とGM-CSFで樹状細胞を誘導し、その過程でアルキルフェノールを添加することで、樹状細胞の概能の細胞表面マーカーおよびサイトカイン産生能を測定した。その結果、トレランス誘導に働くされるIL-10産生能の抑制が認められた。また、Nonylphenolは抗原提示に重要なCD86の発現を増強させ、アルキルフェノールが抗原提示細胞機能を変化させ、トレランス誘導の破綻に関与する可能性が考えられた。新生児、乳幼児期は食物抗原や吸入抗原に対してトレランスが誘導されるのに重要な時期と考えられるが、アルキルフェノール類のなかにはトレランス誘導を阻害し、Th1反応の獲得を抑制してアレルギー反応に重要なTh2優位の反応の成立に関与する可能性が考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Omata N, Yasutomi M, Yamada A, Iwasaki H, Mayumi M, Ohshima Y: "Monocyte chemoattractant protein-1 selectively inhibits the aqcuisition of CD4O-ligand-dependent-iL-12 producing capacity of monocyte derived dendritic cells and modulates Th1 immune response"J Immunol. 169. 4861-4866 (2002)
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[Publications] Oshihima Y, Yamada A, Hiroka M, Katamura K, Ito S, Hirao T, Akutagawa H, Kondo N, Morikawa A, Mayumi M: "Early sesitization to house dust mite is a major risk factor for subsequent development of bronchial asthma in Japanese infants with atopic dermatitis : results of a 4-year follow up study"Ann Allergy Asthma Immunol. 89. 265-270 (2002)
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[Publications] 安冨素子, 小俣合歓子, 大嶋勇成: "樹状細胞からIL-12産生のケモカインによる抑制"臨床免疫. 38・5. 468-473 (2002)
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[Publications] 大嶋勇成: "アトピー性皮膚炎の増加と喘息の関係"日本小児科学会雑誌. 106・11. 1616-1621 (2002)
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[Publications] 大嶋勇成, 眞弓光文: "呼吸器疾患とサイトカイン・ケモカイン"小児科臨床. 55・4. 467-474 (2002)
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[Publications] Yamada A, Ohshima Y, Tsukahara H, Hiraoka M, Kimura I, Kawamitsu T, Kikura K, Mayumi M: "Two cases of anaphylactic reaction to gelatin induced by a chloral hydrate suppository"Pediatr Int. 44. 87-89 (2002)