2002 Fiscal Year Annual Research Report
組換えイネによる内分泌撹乱作用のあるフェノール系化合物の分解
Project/Area Number |
14042228
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
大宮 邦雄 三重大学, 生物資源学部, 教授 (60023488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟冠 和郎 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20154031)
木村 哲哉 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (00281080)
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Keywords | ファイトレメディエーション / クロロカテコール / Ralstonia / イネ / 有機塩素系化合物 |
Research Abstract |
化学物質で汚染された土地をコストをかけずに浄化する技術開発が望まれている。そこで、植物の力を利用して汚染物質を除去するファイトレメディエーションに注目した。本研究では有機塩素系化合物や農薬などで汚染された土地を植物の力で浄化する技術を開発する。進化速度が速く、環境に適応して様々な代謝能力を持つ微生物の汚染物質分解除去能を植物に発現させることを企てた。植物は土壌中の栄養源を利用して、長時間にわたって生命活動を維持することから、汚染物質の無毒化が持続的に進むことになる。具体的には、多環芳香族の微生物分解過程で生じるクロロベンゾエートを分解する土壌細菌から、これらの分解系遺伝子を植物に導入し発現させる。すでに、イネでクロロベンゾエート分解過程の律速であるクロロカテコールを酸化する遺伝子の発現に成功している。土壌細菌Ralstonia eutropha NH9株から得られたクロロカテコールジオキシゲナーゼ遺伝子cbnA,クロロムコネートシクロイソメラーゼ遺伝子cbnB遺伝子をそれぞれ高発現型プロモーターCaMV35S(E7131)の下流につなぎ、バイナリーベクターにのせてアグロバクテリウム法でイネに導入した。得られた植物体より全RNA、全蛋白質を抽出し、ノーザンブロッティングとウエスタンブロッティングで解析した。さらに誘導したカルスを用いてクロロカテコール溶液と数時間振とうし、上済みをHPLCで解析し、これら両遺伝子がイネ植物体の葉で発現していることを確認した。また、この植物体からカルスを誘導し、このカルスを用いてクロロカテコールの分解活性をHPLCで解析したところ、時間の経過と共にクロロカテコールのピークが減少し、分解物であるクロロムコン酸、ジエンラクトンが生成してくることが示された。
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