2002 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌攪乱物質のクロマチン修飾酵素複合体に対する影響
Project/Area Number |
14042234
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長田 茂宏 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (40263305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 力 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (50028859)
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Keywords | 内分泌攪乱物質 / 環境ホルモン / 核内ホルモン受容体 / クロマチン / ヒストン / ヒストンアセチル化酵素 |
Research Abstract |
内分泌攪乱物質(endocrine disruptor, ED)の作用点のひとつはリガンドと核内ホルモン受容体との結合段階である。ある種のEDは核内ホルモン受容体に作用し、正常な遺伝子発現調節を攪乱する。エストロゲン受容体(estrogen receptor, ER)、アンドロゲン受容体(androgen receptor, AR)などの核内ホルモン受容体はリガンド依存的にコアクチベーター(もしくは複合体)と相互作用し、標的遺伝子の発現を活性化する。コアクチベーターにはクロマチンを構成するヒストンをアセチル化する酵素活性を含む因子が多い。ヒストンアセチル化酵素(histone acetyltransferase, HAT)活性はクロマチン構造を弛緩に導くので、HAT活性はホルモン応答遺伝子の発現制御に非常に重要である。 最近、MYSTファミリーに属すHATであるHBO1(HAT binding to ORC1)がリガンド依存的にARと相互作用することが報告された。そこで、性ホルモン受容体とHBO1との相互作用に対するEDの影響を解析する第一段階として、HBO1 cDNAの単離、および性ホルモン受容体との相互作用について検討した。 これまでに報告されているヒトHBO1 cDNAに対応するrat cDNA(HBO1a)はヒトと同様に611アミノ酸から構成されており、ヒトとラットの配列の違いは2アミノ酸のみであった。HBO1aに加え、3種類のアイソフォーム(HBO1b, c, d)がラット肝臓に発現していることが明らかとなった。GST pull-down法により、HBO1はin vitroにおいてAR, ERとリガンド非依存的に相互作用することが明らかとなった。一方、HeLa細胞おいては、HBO1aはERとエストラジオール(E2)依存的に相互作用することが明らかとなった。また、ノニルフェノールもE2と同様にHBO1aとERの相互作用を誘導することが示された。
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