2003 Fiscal Year Annual Research Report
環境濃度の化学物質によるステロイドホルモン分泌の攪乱機構-脳におけるステロイド合成の阻害作用-
Project/Area Number |
14042238
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山崎 岳 広島大学, 総合科学部, 助教授 (30192397)
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Keywords | ニューロステロイド / 環境ホルモン / トリブチルスズ / エストロゲン / リアルタイムPCR / 海馬 |
Research Abstract |
(1)環境ホルモン物質によるニューロステロイド合成酵素mRNA量の変動 生後10日齢のラットの脳から海馬取出し、300μmのスライスを作成して1日間、CO_2イシキュベーター内で培養する。海馬組織にトリブチルスズまたはビスフェノールを48時間作用させたのちに海馬から全RNAを取り出し、リアルタイムPCR法でステロイド合成酵素のmRNA量を定量した。 1μM以下のトリブチルスズで処理した場合、G3PDH, StAR、スルフォトランスフェラーゼ、17β-HSD-3、17βHSD-4、ERαのmRNA量は変化しなかった。P450sccのmRNA量は1μMのトリブチルスズで半減した。P450_<17α>、P450_<arom>のmRNA量は100nMのトリブチルスズで増加し、1μMで減少した。ERβのmRNA量は1μMで数倍に増加した。ビスフェノールAは10nM以下の濃度ではニューロステロイド合成酵素であるP450scc、P450_<17α>のmRNA量には影響しなかった。 (b)エストラジオールによるニューロステロイド合成酵素mRNAへの影響 リアルタイムPCR法を用い、ラット海馬のステロイド合成酵素mRNA量への影響を調べた。1pM-1μMのエストラジオールで48時間処理したところ、P450_<17α>のmRNA量は増加し、ERβのmRNA量は減少した。 以上のように、ラット海馬のニューロステロイド合成酵素mRNA量を正確に測定する系を確立した。一部の酵素やレセプターのmRNA量は、実際に脳内に存在しうる濃度の環境ホルモン物質や女性ホルモンによって大きく変動したことから、記憶や学習に対して大きな影響を与える可能性を示唆する結果が得られた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Derbalah, AS., Yamazaki, T., Sakugawa H.: "Photodegradation kinetics of fenitrothion in various aqueous media and its effect on steroid hormone biosynthesis"Geochim.Cosmochim.Acta. 67. A78 (2003)
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[Publications] Chiyo T, Yamazaki T, Aoshika K, Kominami S, Ohta Y: "Corticosterone enhances adrenocorticotropin-induced calcium signals in bovine adrenocortical cells."Endocrinology. 144. 3376 (2003)
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[Publications] Izumi S, Kaneko H, Yamazaki T, Hirata T, Kominami S: "Membrane, topology of guinea pig cytochrome P45017a revealed by a combination of chemical modifications and mass spectroscopy."Biochemistry. 42. 14663 (2003)
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[Publications] Derbalah, AS., Wakatuki H, Yamazaki, T, Sakugawa H: "Photodegradation kinetics of fenitrothion in various aqueous media and its effect on steroid hormones biosynthesis"Geochem.J.. 38(In press). (2004)