2003 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌撹乱物質の人体汚染と腸肝循環および皮脂による代謝メカニズム
Project/Area Number |
14042261
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山田 健人 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (60230463)
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Keywords | 内分泌撹乱物質 / ダイオキシン / PCB / 腸肝循環 / 膵癌 |
Research Abstract |
これまでに日本人の各種臓器における内分泌撹乱物質の暴露状況を把握し、特定の疾患や病態と蓄積の相関関係を得るための基礎データを得てきた.その過程で、ダイオキシン類が、胆汁、皮脂に排泄されていること、さらにその排泄量から試算すると腸管からの吸収率が80%近くになることを明らかにしてきた。ここでは、同一症例における血液、肝、胆汁における様々な内分泌撹乱物質の濃度の測定から、これらの物質の腸管循環について解析し、それぞれの排泄経路についての検討を試みた。また有意に高い内分泌撹乱物質の蓄積を示す膵癌症例について、各臓器での蓄積状況を検討し、さらに癌および非癌部について癌原遺伝子Rasの変異について探索した。その結果、血液中のダイオキシン類濃度はこれまでの報告と同様の平均24-45pgTEQ/g脂肪であった。胆汁中のダイオキシン濃度は、脂肪ベースではその絶対値も血液とよく相関しており、異性体のパターンもほぼ同じであった。一方、肝臓では、ダイオキシン濃度は血液、胆汁と比べて高く、約3倍であった。さらに胆汁、血液、肝臓のダイオキシンの蓄積には、高い相関が見られた。また臭素系ダイオキシン(PBDE, polybrominated diphenyl ether)は、心血中で4,087±4,428pg/g脂肪、肝では4,001±3,191pg/g脂肪、胆汁では2、953±2,916pg/g脂肪であった,測定した27の異性体のうち、2,2',4,4'-tetraBDE(#47),2,2',4,4',5,5'-hexaBDE(#153),の濃度が高く全体の70%を占めた。心血と胆汁の濃度の相関および心血と肝組織中の濃度の相関係数はそれぞれ0.64,0.60であり、ダイオキシン類と同様に胆汁からの排泄のあることが示された。一方、PCBはダイオキシン類と比較して、胆汁での濃度が低く、胆汁からは排泄されにくいことが判明した。一方、血液、肝、胆汁中のPCB、ダイオキシン、有機塩素系化合物いずれもが、平均値の2〜12倍の蓄積を認めた膵癌症例が見出され丸本症例について、膵臓での内分泌撹乱物質の蓄積について検討したところ、癌組織よりも非癌部において、より高濃度の内分泌撹乱物質が検出された。また非癌部には見出されなかった新たなK-ras変異が癌組織において存在した。このK-ras変異は、コドン12(GGT→GTT、GGT→GAT)とコドン61(CAG→CTG)であった。本研究で、各種の内分泌撹乱物質が胆汁に排泄されること、さらにその排泄パターンは様々である可能性が明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Du W et al.: "Tumor angiogenesis in the bone marrow of multiple myeloma patients and alteratio by thalidomide treatment."Pathology International. 54. 285-294 (2004)
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[Publications] Matsushita, K et al.: "Islet cell hyperplasia in transgenic mice overexpressing EAT/mcl-1, a bcl-2 related gene."Molecular and Cellular Endocrinology. 203. 105-116 (2003)
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[Publications] Yoshinouchi M et al.: "In vitro and in vivo growth suppression of human papillomavirus 16-positive cervical cancer cells by E6 siRNA."Mol Therapy. 8. 762-768 (2003)
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[Publications] Fukuma M et al.: "Monoclonal antibody, 4C4-mAB, specifically recognizes keratan sulfate Proteoglycan on human embryonal carcinoma cells."J Pathology. 201. 90-98 (2003)
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[Publications] Yajima K et al.: "Combination therapy with PPARgamma and PPARalpha agonists increases glucose stimulated insulin secretion in db/db mice."Am J Physiol Endocrinol Metab. 284. E966-E971 (2003)
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[Publications] Takenaka S et al.: "Polychlorinated dibenzo-p-dioxins, polychlorinated dibenzofurans and non-ortho, mono-ortho chlorine substituted biphenyls in Japanese human liver and adipose tissue."Chemosphere. 49. 161-172 (2002)