2002 Fiscal Year Annual Research Report
多様な典型元素―遷移金属結合を環内に含む多元素メタラサイクルの合成と性質
Project/Area Number |
14044010
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飛田 博実 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30180160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 雅明 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20292203)
橋本 久子 東北大学, 大学院・理学研究科, 講師 (60291085)
上野 圭司 群馬大学, 工学部, 助教授 (20203458)
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Keywords | メタラサイクル / 鉄錯体 / ルテニウム錯体 / キレート配位子 / ホスフィノシリル配位子 / キサントシル配位子 / シリル配位子 / シリル錯体 |
Research Abstract |
(1)鉄-ケイ素-リンからなる3員環メタラサイクルの高収率合成とその反応性 ホスフィノシリル鉄錯体の光反応により生成する鉄-ケイ素-リンからなる3員環メタラサイクルは、その3員環の環歪みに加えて、ケイ素が正にリンが負に分極した性質を持つため、それらに基づく高い反応性が期待される。今回、低温で光反応を行うことによりこの錯体の高収率合成を達成した。また、ケトンと室温で瞬時に反応し、カルボニル基の酸素と炭素がそれぞれケイ素とリンと結合を作り、新たな鉄-リン-炭素-酸素-ケイ素結合を持つ5員環メタラサイクルを定量的に生成することを見出した。アルコールや水との反応でも、アルコキシ基やヒドロキシ基がケイ素に、水素がリンに付加した錯体が選択的に得られた。 (2)鉄-ケイ素-窒素を含む5員環メタラサイクルの合成と性質 (2-ピリジルオキシ)シリル鉄錯体に光照射すると、ピリジル基のキレート配位により鉄-ケイ素-酸素-炭素-窒素結合を持つ新たな5員環メタラサイクルが生成した。この錯体は、ホスフィン等の2電子供与体と反応し、ピリジル基が解離して2電子供与体が付加した生成物を与えた。 (3)キサントシル配位子を有する8員環ルテナサイクルの反応性 キサントシル配位子は、その2つのシリル基とエーテル性酸素とで金属に3座配位可能であるが、エーテル性酸素の配位能の弱さから、基質との反応において配位不飽和部位を容易に発生させ得ると考えられる。今回、3座キサントシル配位子を持つルテニウム錯体を一酸化炭素やホスフィンなどの小分子と反応させると、期待通りキサントシル配位子の酸素の配位が外れて、小分子が付加した生成物を高収率で与えた。一方、配位性の低いアセトニトリルでは、アセトニトリルとキサントシル酸素の配位の競合が見られた。このキサントシル酸素の可逆的な配位特性は、新しい触媒反応開発の鍵となり得ると期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Okazaki: "Synthesis and Reactivity of (Phosphinoalkynyl)silyl Complexes"Coord.Chem.Rev.. 226.2. 167-168 (2002)
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[Publications] J.J.G.Minglana: "Synthesis, Structure, and Reactivity of {(2-Phosphinoethyl)silyl}rhodium (I) Complexes Rh[κ^2-Si, P]-Me_2Si(CH_2)_2PPh_2](PMe_3)_n(n=2,3)"Chem Left.. 2003.3. 406-407 (2002)
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[Publications] M.Okazaki: "Synthesis, Structure, and Reactivity of {(2-Phosphinoethyl)silyl}rhodium(I) Complexes Rh[κ^2-Si, P]-Me_2Si(CH_2)_2PPh_2](PMe_3)_n(n=2,3)"J.Chem.Soc., Dalton Trans.. 2002. 2061-2066 (2002)
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[Publications] M.Okazaki: "Reactivity of Silylene Complexes"Dalton Trans.. 4. 493-506 (2003)
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[Publications] T.Sato: "Synthesis, structure, and reactivity of novel iron(II) complexes with a five-membered chelate ligand κ^2(Si, N)-SiMeO(2-C_5H_4N)"J.Organomet.Chem.. 669.2. 189-199 (2003)
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[Publications] H.Hashimoto: "Synthesis, Structure, and Fluxional Behavior of 1,2,3,4-Tetramethylfulvene-Bridged Diruthenium Complex"Inorg.Chim.Acta.. (in press). (2003)