2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14044026
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
友岡 克彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (70207629)
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Keywords | 面不斉 / ジアリルエーテル / ジアリルアミン / Cope転位 / [2,3]-Wittig転位 |
Research Abstract |
先に、我々は9員環ジアリルエーテルが室温下、安定な面不斉を有していることを見出し,これが新しいキラルビルディングブロックとして有用であることを明らかにしている.そこで本研究では,9員環ジアリルエーテルと同様な骨格を有する9員環ジアリルアミンの合成とその面不斉現象について精査した.その結果,二つのアルケン部位にメチルが置換したアミンはnerol acetateから4工程で,一方,アルケン部位に置換基を持たないアミンは4-pentenoic acidから6工程で,それぞれ収率良く合成することに成功した.これらアミンをキラルカラムHPLCにより分析した結果,いずれも室温下,安定な面不斉を有していることが明らかになった.これは安定な面不斉を有する中員環アミンの初めての例である.さらにHPLC分取法によって光学活性なアミンを得ることにも成功した.この様にして得られた光学活性アミンの面不斉は中心性不斉に効率的に変換することが出来る.すなわち,光学活性な9員環ジアリルアミンにPd(II)触媒を作用させCope転位を行うと置換ピロリジンが,またBuLiを作用させると渡環型[2,3]-Wittig転位が進行し置換シクロヘキセンが、それぞれ用いたジアリルアミンとほぼ同等の光学純度で得られた.本研究ではさらに,9員環ジアリルアミンを光学活性体として得るためにラセミ体の分晶およびエナンチオ選択的環化反応による不斉合成についても検討し,良好な結果を得た.
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