2002 Fiscal Year Annual Research Report
オルトキノンメチドアナログを活用した縮合多環式複素環化合物の合成
Project/Area Number |
14044029
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
井上 誠一 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 教授 (90017939)
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Keywords | ベンゾピラン / チオベンゾピラン / オルトキノンメチド / オルトチオキノンメチド / 分子内環化反応 / サリチルアルデヒド / オキサチアン / 含硫黄複素環化合物 |
Research Abstract |
本研究は、高反応活性なオルトキノンメチドアナログの穏和な発生法と立体選択的な分子内付加反応を活用して、含酸素系および含硫黄系の縮合複素環化合物の新しい合成法を確立することが目的である。 (1)オルトキノンメチドのチオアナログは今まで合成に使われた報告がない。これを発生させることができれば、B環にSを含む多環式化合物が得られると期待される。そこで、チオールサリチルアルデヒドを合成して、不飽和アルコールとの反応を検討した。酸化の副反応を防止するためにチオールサリチルアルデヒドMOMエーテルを用いて反応を行ったところ、。目的化合物の合成に成功した。しかし通常の条件下では立体特異性がなく、中間体としてオルトキノンメチドチオンアナログが生成したかどうか疑問がある。そこで予め両者を穏和な条件で反応させてアセタールとした後、加熱条件で環化を行うと、立体特異的に目的生成物が得られた。 (2)B環にO,C環にSを含む四環式化合物の合成について検討した。2-プレニルシクロヘキサンチオールを合成し、サリチルアルデヒドとの反応を検討したところ、対応するシクロヘキサノールに比べて反応は低温で速やかに進行し、目的の四環式化合物を合成することに成功した。 (3)次に、B環にO,C環にSとOを含む多元素多環式化合物の合成について検討した。即ち、5-メチル-3-チア-4-ヘキセノールを合成してサリチルアルデヒドとの反応を検討したところ、通常の反応条件では三環式化合物は低収率で、二環式化合物が副生した。そこで、オルトギ酸エステルを用いず、ルイス酸を用いたところ、目的の三環式化合物を高収率で得ることに成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 井上誠一, 金 里瑛, 中川千洋, 恒見卓志, 本田 清: "三環式ピラノイソインドリノンの位置選択的合成研究"第43回有機合成化学協会関東支部山梨シンポジウム講演要旨集. 47-48 (2002)
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[Publications] S.Inoue: "Stereoselective Synthesis of Isoprenoids by Use of Pericyclic Reactions"Abstracts, International Symposium on the Chemistry of Essential Oils, Terpenes, and Aromatics. S6-S9 (2002)
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[Publications] S.Inoue, R.Kim, C.Nakagawa, K.Morimoto, K.Honda: "Regioselective synthesis of tricyclic pyrano-isoindolinone as a core structure of aromatic isoprenoids"Abstracts, International Symposium on the Chemistry of Essential Oils, Terpenes, and Aromatics. 218-220 (2002)
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[Publications] 井上誠一, 土屋文明, 王 平, 佐藤美智, 本田 清: "オルトキノンメチド及びそのチオアナログの反応性を利用した硫黄原子を有する縮合多環式化合物の合成"第32回複素環化学討論会講演要旨集. 331-332 (2002)
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[Publications] 井上誠一, 土屋文明, 王 平, 佐藤美智, 本田 清: "ο-キノンメチドの反応性を利用した縮合三環式ペンゾピラノオキサチアン及びその類縁体の合成"第44回有機合成化学協会関東支部新潟シンポジウム講演要旨集. 121-122 (2002)
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[Publications] 井上誠一, 土屋文明, 佐藤美智, 王 平, 星野雄二郎, 本田 清: "ο-キノンメチドの反応性を利用したベンゾピラノオキサチアン及びその類緑体の合成"日本化学会第83春季年会講演予稿集. 3H8-3H17 (2003)