2002 Fiscal Year Annual Research Report
電磁気学的機能発現を指向したヘテロ環多官能基性フラーレン誘導体の合成
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14044036
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村田 静昭 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (50157781)
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Keywords | フラーレン / パラジウムメタラサイクル / C_<60> / 内包フラーレン / 酸化反応 / オルトフェニレンジアミン / フェニルヒドラジン / 蛍光物質 |
Research Abstract |
フラーレン(C_<60>)を基に、パラジウムメタラサイクル錯体による[4+2]型環状付加反応、引き続き光異性化によって得られる60π電子ビス(フレロイド)誘導体は、光増感自己酸化によって炭素-炭素結合の部分切断が起こりジケトン誘導体へと変化することを見出した。このジケトン誘導体は、フラーレンの5員環および6員環のみからなるサッカーボール構造の一部に12員環という大環状構造をもっており、部分的に開口部をもったフラーレン誘導体とみなすことができる。また、炭素のみからなるフラーレンの骨格上に酸素官能基を直接結合させた構造を有しているので、酸化-還元に基づく電子的な特性も従来のフラーレン誘導体には見られないものを示している。本年度の研究では、このようなジケトン誘導体の構造的および電子的な特性を、ヘテロ原子官能基を導入することによってさらに際立たせることを目指して以下のような成果を得た。ジケトンに存在する12員環構造は環サイズが開口部を通して物質をフラーレンの内部へ挿入するには不十分なので、フェニルヒドラジンまたはオルトフェニレンジアミンと反応させることによって、従来知られていなかった新しい型の水素移動を伴った付加・転位反応を経て、さらに炭素-炭素結合を位置選択的に切断した1:1反応生成物を得ることができた。これらの生成物は特徴的な光化学的性質を有しており、フェニルヒドラジンとの反応生成物は近赤外部にオルトフェニレンジアミンとの反応生成物は可視部にそれぞれ強い蛍光を発する性質があることを見出した。構造が明らかとなった生成物については論文に発表した。さらに、結晶化・安定アイソトープを導入したNMR測定・量子化学計算などを駆使して構造未確定の生成物の構造決定を実行中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Inoue, H.Yamaguchi, S.-i.Iwamatsu, T.Uozaki, T.Suzuki, T.Akasaka, S.Nagase, S.Murata: "Photooxygenative Partial Ring Cleavage of Bis(fulleroid) : Synthesis of a Novel Fullerene Derivative with 12-Membered Ring"Tetrahedron Letters. 42. 895-897 (2001)
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[Publications] S.-i.Iwamatsu, P.S.Vijayalakshmi, M.Hamajima, C.H.Suresh, N.Koga, T.Suzuki, S.Murata: "A Novel Photorearrangement of a Cyclohexadiene Derivative of C_<60>"Organic Letters. 1217-1220 (2002)
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[Publications] S.-i.Iwamatsu, P.S.Vijayalakshmi, Y.Kitamura, M.Hamajima, I.Koike, S.Murata: "Photochemical and Thermal Rearrangement of Cyclohexadiene Derivatives of C_<60> : Formation and Characterization of Novel Compounds Relating to Bis (fulleroid)"Physics of the Solid State. 44. 1153-1154 (2002)
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[Publications] C.H.Suresh, P.S.Vijayalakshmi, S.-i.Iwamatsu, S.Murata, Nobuaki Koga: "Rearrangement of the Cyclohexadiene Derivatives of C_<60> to Bis(fulleroid) and Bis(methano)fullerene : Structure, Stability and Mechanism"Journal of Organic Chemistry. (in press). (2003)