2003 Fiscal Year Annual Research Report
複合型ヘテロ原子高次導入法の開発に基づく多元素環状化合物構築法の創生
Project/Area Number |
14044063
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
小川 昭弥 奈良女子大学, 理学部, 教授 (30183031)
|
Keywords | ラジカル環化反応 / シアノチオレーション / 付加カルボニル化 / 一酸化炭素 / イソシアニド / 4成分連結反応 / β-ラクタム合成 / 遷移金属触媒反応 |
Research Abstract |
本研究では、多元素環状化合物合成手法の確立のための新概念として、ヘテロ原子化合物の複合型ラジカル反応系と複合型遷移金属触媒反応系を設計し、複数のヘテロ原子官能基の各種不飽和結合への高選択的導入を系統的に調べ、これを環化反応に応用することにより、直截的な多元素環状化合物の合成手法を確立することを目的として行った。得られた成果は以下のように要約される。(1)光照射下でのイソシアニドへの付加がジスルフィドとジセレニドの複合系において効率良く付加が進行することを見い出し、さらに生成物のケテンとの形式的な[2+2]環化付加によりβ-ラクタムが簡便に合成された。(2)ジセレニドの適度な炭素ラジカル捕捉能力を利用した、イソシアニドと炭素-炭素不飽和化合物との3成分連結反応に成功した。得られた3成分カップリング生成物は同様にβ-ラクタム誘導体に容易に変換可能である。(3)さらに本手法はイソシアニドのみならず、種々のアルケン類を用いても進行し、例えば、エチルプロピオレート、2-メトキシプロペン、アクリロニトリル、およびジセレニドとの光照射下での反応は、これら4成分のカップリングに基づく5員環環化生成物を高収率で与えた。(4)増炭素型硫黄官能基導入反応として、アセチレン類の位置および立体選択的チオシアノ化が、パラジウム0価錯体またはコバルトカルボニルの触媒反応として効率良く進行することを見い出した。(5)一酸化炭素を1炭素増炭試剤として用いることにより、チオールのアセチレンへの付加がカルボニル化を伴って位置選択的に進行し、ロジウム触媒ではチオホルミル化が、一方白金触媒ではヒドロチオカルボニル化が良好に進行することを見い出した。(6)これらの複合型カルボニル化法を用いて環化反応を検討したところ、アセチレンアルコールを基質に用いた場合に硫黄官能基とカルボニル基の導入を伴う高選択的な環化反応を見い出した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Akiya Ogawa: "Rhodium-catalyzed highly selective thioformylation of Acetylenes with thiols and carbon monoxide"Tetrahedron. 59・34. 6559-6567 (2003)
-
[Publications] Akiya Ogawa: "Highly Selective Sequential Addition and Cyclization Reactions of Dipheryl Diselenide to Alkyne and Alkenes under Visible-Light Irradiation"Angew.Chem.Int.Ed.. 42・30. 3490-3493 (2003)
-
[Publications] Akiya Ogawa: "Platinum-catalyzed highly selective thiocarbonylation of acetylenes with thiols and carbon monoxide"Tetrahedron. 59・19. 3521-3526 (2003)
-
[Publications] Akiya Ogawa: "A highly selective photoinduced selenoperfluoroalkylation of terminal acetylenes by using a novel binary system of perfluoroalkyl iodide and diphenyl diselenide"Tetrahedron Lett.. 44・49. 8777-8780 (2003)
-
[Publications] Akiya Ogawa: "Main Group Metals in Organic Synthesis(Chapter 15 Se and Te in Organic Synthesis)"Wiley-VCH. 885 (2004)