2003 Fiscal Year Annual Research Report
クロム(II)を用いる多元素環状化合物の新合成法の開発
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14044066
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高井 和彦 岡山大学, 工学部, 教授 (00144329)
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Keywords | クロム(II) / 多元素環状化合物 / ヨードシクロプロパン / クロム-カルベン錯体 / シクロプロピルシラン |
Research Abstract |
クロム(II)を用いる合成反応はその条件が穏やかであり、多くの酸素官能基を含む化合物の合成への適用が期待され、また、操作も簡便である。クロム-カルベン活性種をgem-ジクロム化合物より調製し、それを用いるメタセシス環化反応を試みた実験から、環状化合物であるヨードシクロプロパンを末端アルケンから合成する反応を見いだした。 末端オレフィンを選択的にトランス体のヨードシクロプロパン化するのは難しく、一般にはE体のヨードオレフィンを古川-川端法(CH_2I_2,Et_2Zn)によるシクロプロパン化反応でヨードシクロプロパンを得ることが多い。しかし、酸素官能基がオレフィン二重結合の近傍にない1-ドデセンのような基質では、このシクロプロパン化反応は進行しない。今回、ジアミンであるTEEDA(N,N,N',N'-tetraethylethylene-diamine)の共存下、ヨードホルムとクロム(II)から得られる反応剤を末端アルケンに作用させると、トランス体のヨードシクロプロパンが生成することを見いだした。反応活性種についてはgem-ジクロム化合物より生じた、ヨウ素の置換したクロム-カルベン錯体だと考えている。 さらに上記のヨードシクロプロパン化反応において、ヨードホルムに代えてMe_3SiCHI_2を用いたところ、シクロプロピルシランが得られることがわかった。この反応ではジアミンとしてTMEDA(N,N,N',N'-tetramethylethylenediamine)が最も高い収率を与えた。しかし、そのとき生成するシクロプロピルシランのトランス/シス比は2/1程度であった。立体選択性の向上を目指し種々検討した結果、嵩高いi-Pr_3SiCHBr_2をLiIとともに用いると、シクロプロピルシランのトランス/シス比が7/1程度に向上することがわかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Takai, S.Sakamoto, T.Isshiki: "regioselective Reductive Coupling of Alkynes and Aldehydes Leading to Allylic Alcohols"Org.Lett.. 5巻5号. 653-655 (2003)
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[Publications] K.Takai, S.Toshikawa, A.Inoue, R.Kokumai: "Stereoselective Iodocyclopropanation of Terminal Alkenes with Iodoform, Chromium(II) Chloride, and N,N,N',N'-Tetraethylethylenediamine"J.Am.Chem.Soc.. 125巻43号. 12990-12991 (2003)
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[Publications] K.Takai, M.Hirano, S.Toshikawa: "Preparation of Cyclopropylsilanes from Terminal Alkenes with Organochromium Reagents"Synlett. (in press). (2004)