2002 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒によるC-H結合活性化を経る環状化合物の直接合成法の開発
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14044080
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
北村 二雄 佐賀大学, 理工学部, 教授 (00153122)
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Keywords | パラジウム触媒 / C-H結合活性化 / フェノール / アセチレンカルボン酸エステル / クマリン |
Research Abstract |
金属触媒を用いるアルキンへのヒドロアリール化反応を環状化合物の合成へ応用し、一段階でしかも無駄な廃棄物の無い、環境にやさしい合成法を開発することを目的としている。 本年度は、パラジウム触媒を用いてフェノールとアセチレンカルボン酸エステルからクマリン誘導体を直接合成する方法について検討した。 触媒量(2.5mol%)の酢酸パラジウム存在下3,4,5-トリメトキシフェノールとフェニルプロピオール酸エチルエステルをトリフルオロ酢酸中室温で反応させると、4-フェニル-5,6,7-トリメトキシクマリンが高収率で得られた。同様に、種々のフェノールおよびアセチレンカルボン酸エステルについて検討したところ、良好な収率でクマリン誘導体が得られることがわかった。このように、フェノールとアセチレンカルボン酸エステルの分子間反応からクマリンが直接合成できることが明らかになった。 本反応はパラジウム触媒が存在しないと起こらず、また、反応条件下ではフェノールとのエステル交換は起こらない。従って、クマリン生成は、エステル交換によるアセチレンカルボン酸のアリールエステルの生成とその分子内環化でなく、フェノールへのパラデーションとアルキンへの付加、そして分子内環化を経て起こると考察した。 また、3,5-ジメトキシフェノールとフェニルプロピオール酸からも4-フェニル-5,7-ジメトキシクマリンが生成することを予備的に見出した。本反応は、エステルでなくカルボン酸からクマリンを合成することができるため、反応がよりシンプルになるため、将来有望な反応であると期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tsugio KITAMURA et al.: "Direct Synthesis of β-Alkenylpyrroles by Pd(II)-Catalyzed Addition of Pyrroles to Alkynoates"Chemistry Letters. 20-21 (2002)
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[Publications] Tsugio KITAMURA et al.: "Direct Synthesis of Coumarins by Pd(II)-Catalyzed Reaction of Alkoxyphenols and Alkynoates"Chemistry Letters. 380-381 (2002)