2002 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合系をもつキュービック液晶性化合物の動的構造制御
Project/Area Number |
14045232
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
沓水 祥一 岐阜大学, 工学部, 助教授 (80214964)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 登造 住友化学工業(株), 筑波研究所, 主席研究員
|
Keywords | 水素結合 / 強相関ソフトマテリアル / キュービック液晶 / スメクチック液晶 / 電場誘起相転移 / 構造制御 / 液晶 |
Research Abstract |
本研究で扱う化合物は、硬いビフェニルコアの両端の4位と4'位にそれぞれカルボキシル基と長いアルコキシ鎖(その炭素数をnとする)を、側方の3'位に極性基であるニトロ基をもつだけの有機分子であり、ANBC-nと略称される。この化合物は、分子末端の分子間水素結合に端を発した「強相関ソフトマテリアル」として、ある温度域で3次元的な凝集構造であるキュービック液晶(Cub)相を発現する。特に注目されるのは低温側の層状構造のスメクチックC(SmC)相からの転移で、貯蔵弾性率G'は、SmC相の10^2-10^3PaからCub相の10^6Paへと劇的な変化を示す。本研究は、このSmC-Cub相転移の機構を理解し、"化学的に"あるいは"物理的に"制御することを目的として行っている。以下の新しい知見を得ている。 (1)1成分系のANBC-nのアルコキシ鎖長nに依存した相図を明らかにし、Cub相領域には2種類のCub相構造が存在することを見出した。(2)"化学的"制御の試みとして、ANBC-nとn-アルカンとの2成分系を調製し、ANBC-nのアルコキシ鎖部分を実効的に修飾してみた。その結果、上記アルコキシ鎖長nに対する相図は、実効的なアルコキシ鎖長n^*によって再現できること、すなわち、相図は系内の相反する2成分、aliphatic vs. aromaticの存在によって支配されていることがわかった。(3)"物理的な"制御の試みとして、SmC相およびCub相の交流電場応答を検討した。興味深いことに、n=22のANBC-22では、SmC-Cub相転移の約10℃下のSmC相において、交流電場印加により、SmC-Cub相転移を誘起することに成功した。しかし、電場除去によりもとのSmC相にもどることはなかった。そこで、交流ずり歪みを加えて、動的粘弾性の測定、貯蔵弾性率G'が電場の印可・除去に応答して増加し減少することを見出した。現在さらに条件を変えて検討中である。この電場誘起相転移は、電場と分子内の水素結合あるいはニトロ基とのカップリングによると思われるが、今後その詳細を解明していきたい。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] S.Kutsumizu, K.Morita, T.Ichikawa, S.Yano, S.Nojima, T.Yamaguchi: "Cubic phases of 4'-n-alkoxy-3'-nitrobiophenyl-4-carboxylic acids(ANBC-n)"Liquid Crystals. 29・11. 1447-1458 (2002)
-
[Publications] S.Kutsumizu, K.Morita, S.Yano, S.Nojima: "Cubic phases of binary systems of 4'-n-tetradecyloxy-3'-nitrobiphenyl-4-carboxylic acid(ANBC-14)-n-alkane"Liquid Crystals. 29・11. 1459-1468 (2002)
-
[Publications] Y.Maeda, S.Krishna Prased, S.Kutsumizu, S.Yano: "In situ observation of the pressure-induced mesophase for 4'-n-hexadecyloxy-3'-nitrobiphenyl-4-carboxylic acid"Liquid Crystals. 30・1. 7-16 (2003)
-
[Publications] Y.Maeda, K.Morita, S.Kutsumizu: "Thermal behavior of the thermotropic cubic mesogen 4'-n-alkoxy-3'-nitrobiphenyl-4-carboxylic acids under pressure"Liquid Crystals. 30・3(in press). (2003)
-
[Publications] S.Kutsumizu, M.Yamada, T.Yamaguchi, K.Tanaka, R.Akiyama: "Electric field-induced cubic phase in 4'-n-docosyloxy-3'-nitrobiohenyl-4-carboxylic acid"J.Am.Chem.Soc.(Communication). 125・10. 2858-2859 (2003)
-
[Publications] S.Kutsumizu, M.goto, S.Yano, S.Schlick: "Structure and dynamics of ionic aggregates in ethylene ionomers and their effect on polymer dynamics : A study by small-angle X-ray scattering and Electron Spin Resonance Spectroscopy"Macromolecules. 35・16. 6298-6305 (2002)