2002 Fiscal Year Annual Research Report
糖・脂質ハイブリッド球状分子による疎水・親水リバーシブル材料設計
Project/Area Number |
14045234
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
青井 啓悟 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (30222467)
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Keywords | デンドリマー / シュガーボール / ソフトマテリアル / 分子認識 / 糖鎖高分子 / 分子カプセル / 生医学材料 / リサイクル |
Research Abstract |
本研究では、ナノスケール球状分子表面に疎水性基(脂質)および多重水素結合性基(糖質)を配した全く新しいソフトマテリアルの創出を目的とし、表面置換基が分子のまわりのミクロ環境に応じてリバーシブルかつ強相関的に、分子の表面と内部に交互に出し入れできる材料の創成を行った。 ポリ(アミドアミン)デンドリマーの末端アミノ基に対して、小過剰量の糖置換セリンN-カルボキシ酸無水物を-30度で反応させることにより、正確に1単位の糖ペプチドを導入した。この段階で、ゲスト分子を混合し、塩化カプロイルによりペプチドN末端にアシル基を定量的に導入した。ヒドラジンを用いた糖の脱保護を行い、目的の糖・脂質ハイブリッド型デンドリマーを得た。 上記のハイブリッドデンドリマー合成において、ANSなどの低分子化合物を混合する比率を変えて捕捉能を評価した。カプセル化率は、カプセル化後の蛍光スペクトルから評価する方法とともに、正確を期するために、アルカリ加水分解を行い、別途ハイブリッドデンドリマーとANSとを物理的に混合した(カプセル化されていない)試料を、同一手法で加水分解して得られた蛍光スペクトルと比較することにより、定量を行った。 ハイブリッドデンドリマーの異種高分子捕捉能としてDNAとの複合体形成能を評価した。ハイブリッドデンドリマーが、遺伝子の有効なキャリヤーとして機能することを明らかにできた。ハイブリッドデンドリマーは表面の動的な官能基露出挙動変位によって、優れた複合体形成能を有する新しいキャリヤーして有用であることがわかった。すなわち、DNAと接していないデンドリマー表面は糖が露出し、DNAと接している部分は、より安定な結合を形成するようアシル基がデンドリマー表面に移動し、最適なコンホメーションをとり複合化していると考えられる。 DNAとの複合体形成後に、レクチンとの相互作用をUV測定(濁度測定)および赤血球凝集阻害試験により評価した。ポリ(アミドアミン)デンドリマー/ポリカプロラクトンハイブリッドデンドリマーも調製し、DNAとの複合体の酵素分解に対する耐性を評価した。制限酵素を用いた生分解試験の後に、ポリアスパラギン酸により複合体を解離させ、遊離のDNAを電気泳動法で解析し、切断の様子を調べた。これらのハイブリッドデンドリマーが遺伝子送達システムの新しいキャリヤーとして有望であることを見出した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Aoi, K.: "Synthesis of a Poly(vinyl alcohol)-Based Graft Copolymer Having Poly(ε-caprolactone) Side Chains by Solution Polymerization"Macromolecular Chemistry and Physics. 203・7. 1018-1028 (2002)
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[Publications] Sato, H.: "Determination of Degree of Substitution in N-Carboxyethylated Chitin Derivatives by Pyrolysis-Gas Chromatography in the Presence of Oxalic Acid"Journal of Analytical and Applied Pyrolysis. 64. 177-185 (2002)
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[Publications] Aoi, K.: "Nano-Scale Molecular Shapes of Water-Soluble Chitin Derivatives Having Monodisperse Poly(2-alkyl-2-oxazoline) Side Chains"Macromolecular Chemistry and Physics. (印刷中). (2003)
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[Publications] Okada, M.: "Biodegradable Polymers Based on Renewable Resources, VI. Synthesis and Biodegradability of Poly(ester carbonate)s Containing 1,4:3,6-Dianhydro-D-glucitol and Sebacic Acid Units"Journal of Applied Polymer Science. 86. 872-880 (2002)
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[Publications] Nomura, N.: "Stereoselective Ring-Opening Polymerization of Racemic Lactide Using Aluminum-Achiral Ligand Complexes : Exploration of a Chain-End Control Mechanism"Journal of the American Chemical Society. 124・21. 5938-5939 (2002)
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[Publications] Sato, H.: "Evaluation of Biodegradation Behavior of Poly(ε-caprolactone) with Controlled Terminal Structure by Pyrolysis-Gas Chromatography and Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization Mass Spectrometry"Journal of Analytical and Applied Pyrolysis. (印刷中).