2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14045247
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
池田 裕子 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (10202904)
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Keywords | アイオネン / エラストマー / モルフォロジー / 力学的性質 / 熱特性 / キャスト溶媒 / イオン性ポリマー / 小角X線散乱 |
Research Abstract |
(CF_3SO_2)_2Oを用いてテトラヒドロフラン(THF)の開環リビングカチオン重合を行い、4,4'-ビピリジンを加えて停止反応と同時に鎖延長反応させ、対アニオンをCl^-に交換することによりPTVを合成した。キャラクタリゼーションは^1H-NMR測定と元素分析により行った。PTVフィルムは溶媒にメタノール、クロロホルム、THFを用いて、10wt%溶液を調製し、テフロンモールドにて40℃でキャストすることにより作製した(それぞれ、PTV-M、PTV-C、PTV-Tと略称する)。試料を引張試験、示差走査熱量(DSC)分析、動的粘弾性試験(DMA)、小角X線散乱(SAXS)測定に供して性質と高次構造の評価を行った。PTVはイオン点間分子量が5900であった。PTV-MとPTV-Cは類似の引張特性を示したのに対し、PTV-Tはそれらと比較して低い応力と小さい破断強度を示した。DSC測定の結果、いずれのフィルムにおいてもガラス転移温度(T_g)とポリ(テトラメチレンオキシド)(PTMO)の結晶の融点(T_m)とイオンドメインの相転移温度(T_i)が検出された。しかし、PTV-MとPTV-CはPTV-TよりもT_mの熱容量(ΔH)が小さくTiのΔHは大きく、さらに、DMAでは明確なゴム状平坦領域とそれに続くイオン凝集部の軟化によるG'の低下が認められた。これらの結果は、メタノールとクロロホルム溶液からキャストしたフィルムの方がイオンセグメントの凝集が進行していることを示唆した。そこで詳細な高次構造の解析を行うためにSAXS測定から得られたプロファイルをカスケード理論に基づくf官能ランダム重縮合系からの散乱強度を表す式にイオン凝集部の形に対応する散乱関数を組み込んで解析した。その結果、イオンドメインサイズとイオンドメイン間距離はそれぞれPTV-Mでは43.5Åと79.9Å、PTV-Cでは42.7Åと78.2Å、PTV-Tでは37.8Åと66.8Åであることが判った。高次構造の違いが与える引張特性が明らかとなり、PTMOアイオネンの高強度エラストマー材料の作製においてキャスト溶媒の選択が重要であることが判った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yuko Ikeda: "One-pot synthesis and characterization of aliphatic poly(oxytetramethylene) ionene"Polymer. 43. 3483-3488 (2002)
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[Publications] 池田裕子: "ゴムの架橋の化学"日本ゴム協会誌. 75・2. 55-61 (2002)
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[Publications] 池田裕子: "ゴム・エラストマーの新展開"日本の科学者. 37・6. 30-35 (2002)