2002 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合による分子組織体を経由するナノワイヤー形成の動的制御
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14045270
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
玉置 信之 独立行政法人産業技術総合研究所, 物質プロセス研究部門・機能分子化学グループ, 研究グループ長 (00344218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長沢 順一 独立行政法人産業技術総合研究所, 物質プロセス研究部門・機能分子化学グループ, 主任研究員 (60357621)
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Keywords | 有機ゲル / 重合 / 共役高分子 / ナノワイアー / ジアセチレン / コレステロール / 水素結合 |
Research Abstract |
ジアセチレン誘導体が結晶中において重合してポリジアセチレンを与えることはよく知られている。また、最近では有機ゲル状態でも重合することが報告されている。我々はウレタン結合を有する種々のジアセチレンジコレステリルエステルが低濃度でシクロヘキサン等の有機溶媒をゲル化することを報告した。これまでに合成したほとんどの誘導体がゲル化能を示し、生成した有機ゲルは紫外光照射により光重合しポリジアセチレンを生じ、濃紺、赤紫、橙、ピンク等に着色したゲルに変化した。今回、末端コレステリル基の代わりに長鎖アルキル基を導入した化合物やスペーサーに嵩高い置換基を導入した化合物を合成し、化学構造とゲル化能の関係をさらに検討したので結果を報告する。 コレステリル基とドデシル基を両端に導入した化合物の各種有機溶媒に対するゲル化能を調べたところ、濃度1wt%でヘキサンやシクロヘキサンをゲル化し、生成したゲルは紫外光照射により重合して濃紺に変化した。それに対して両端にドデシル基を導入した化合物はどの溶媒に対してもゲル化は起こらなかった。これらの結果からゲル化能を示すにはコレステリル基が少なくとも1つは必要であり、コレステリル基はゲル化に際して分子間のパッキングに寄与しているものと推測している。また、結合部としてイソブチルメチレン基を導入した化合物は溶解性が大きく、各種の溶媒に対してゲル化が起こらなかった。ゲルのIR測定からゲル中ではアミノ基とウレタンのカルボニル基間で水素結合が形成されていることが示唆されており、イソブチル基のように嵩高い置換基が水素結合部位の近くに存在すると水素結合の形成を阻害するものと考えられる。形成したほとんどの有機ゲルは反応性に差はあるものの紫外光照射により重合した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] N.Tamaoki, Y.Aoki, M.Moriyama, M.Kidowaki: "Photochemical Phase Transition and Molecular Realignment of Glass-Forming Liquid Crystals Containing Cholesterol/Azobenzene Dimesogenic Compounds"Chemistry of Materials. 17. 719 (2003)
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[Publications] V.A.Mallia, N.Tamaoki: "Photoresponsive vitrifiable chiral dimesogens : photo-thermal modulation of microscopic disordering in helical superstructure and glass-forming properties"Journal of Materials Chemistry. 13. 219 (2003)
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[Publications] M.Kidowaki, N.Tamaoki: "Unique crystal structure of donor acceptor complex : crossed arrangement of two charge-transfer columns"Chemical Communications. 290 (2003)
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[Publications] 玉置 信之: "光機能性有機・高分子材料の新局面"シーエムシー出版. 17 (2002)