2004 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー陽子反陽子衝突によるヒッグス粒子の探索
Project/Area Number |
14046203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金 信弘 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (50161609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝川 紘治 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (00011635)
受川 史彦 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (10312795)
原 和彦 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (20218613)
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Keywords | ヒッグス粒子 / 陽子反陽子衝突実験(CDF) / 質量起源 / 超対称性理論 / 大統一理論 / 自発的な対称性の破れ / 国際協力実験 / トップクォーク |
Research Abstract |
「陽子反陽子衝突実験によるヒッグス粒子の探索(計画研究A01)」では,米国フェルミ国立加速器研究所の陽子・反陽子衝突型加速器テバトロンおよびCDF検出器を用い,世界最大の重心系エネルギー2TeVでの陽子・反陽子衝突によって生じる事象の性質を調べることによって,素粒子物理研究を行う。2001年春より本実験が開始され,現在データ収集とそれに並行した物理解析が進行中である。これに先立って収集されたデータの解析も行われており,以下の解析結果が現在得られている。 (1)電荷が電子の2倍の荷電ヒッグス粒子を同符号荷電のレプトン対に崩壊するモードで探索した結果,質量下限値として電子対(μ粒子対)のチャンネルで133GeV/c^2 (136GeV/c^2)を得た。 (2)Minimal supergravity SUSY model (mSUGRA模型)のチャージーノ・ニュートラリーノが随伴生成する事象を終状態に同符号荷電のレプトン対が生成されるモードで探索した結果,tanβ=3,μ<0,A_0=0の条件下でm_<1/2>の下限値として40GeV/c^2を得た。 (3)重心系エネルギー2TeVの陽子反陽子衝突でトップクォーク対の生成断面積を測定した。トップ反トップ対の一方のみセミレプトニック崩壊するレプトン+ジェットモードでは48候補事象が観測され断面積として5.6±1.6pbを得た。 (4)トップクォークの質量を2種類の方法で測定した。従来の崩壊Kinematicsのみを用いた解析法では質量として177.2+4.9/-4.7±6.6GeV/c^2を得た。トップクォーク対生成Dynamicsも含めてLikelihoodを計算する力学的最尤法(Dynamical Likelihood Method)を用いた結果、質量として177.8+4.5/-5.0±6.2GeV/c^2を得た。 (5)中性ヒッグス粒子をWボソンとヒッグス粒子が随伴生成してヒッグス粒子がボトム反ボトム対に崩壊するモードで探索した結果,ヒッグスの質量が120GeV/c^2の場合,標準理論予言値の約30倍の生成断面積の上限値を得た。 今後の物理解析の計画としては、ヒッグス粒子探索のいくつかのチャンネルについての解析研究が行われており、信号・バックグラウンド比を改良するための解析方法の検討が行なわれている。 またCDF実験グループの海外の他のメンバーとも密に協力して実験を進めるために,週1度位の頻度で研究状況をまとめて議論するミーティングをテレビ会議を用いて行っている。
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Research Products
(6 results)