2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14046212
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 実 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70273729)
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Keywords | B中間子 / 超対称性 / 荷電ヒッグス粒子 / タウレプトン / QCD / HQET / フレーバー |
Research Abstract |
クォークレベルのb→cτν崩壊振幅への荷電ヒッグス粒子の寄与について、演算子積展開の手法を用いて重クォークの極限でNLOのQCD輻射補正を求めた。具体的には、QCDとHQETの間で、荷電ヒッグス粒子の寄与であるスカラーおよび擬スカラー型のb→c遷移演算子の整合を1ループで行い。さらにHQETにおいて2ループのくりこみ群方程式を用いて、これらの演算子のウィルソン係数を決定した。ただし、くりこみ群による総和はO((m_c/m_b)^0)までで、O(m_c/m_b)のleadingでの総和については現在計算中である。 このクォークレベルの計算を元にB→D^<τνの崩壊振幅への荷電ヒッグス粒子の寄与をHQETを用いて求めた。ここで現われる形状因子はβ→D^<(*)>lν(l=e,μ)崩壊の実験データと分散関係によって強く制限されていることが知られているので、その結果を用いて形状因子に関する不定性を評価した。 上の結果と既知のWボソンの寄与を合わせて分岐比と崩壊分布を計算し、上記の補正や形状因子の不定性が分岐比と崩壊分布に与える影響を定量的に調べた。その結果、分岐比の計算における理論的不定性は形状因子の不定性によって支配されていることを示した。また、形状因子の不定性が現われない崩壊分布比では、QCD補正による不定性が支配的であるが不定性の大きさは問題となるものではないことが分った。さらに、分岐比だけでは標準模型と最小超対称標準模型との区別がつかない場合でも、崩壊分布比を見れば容易にこれらの区別ができることも示した。 また、関連する研究として、B中間子に関係するフレーバーおよびCPの破れの現象を様々な超対称模型で調べ、これらの現象を通じて超対称性の破れのフレーバー構造について調べる可能性について研究を行った。
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Research Products
(1 results)