2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14047203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒田 和明 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (00242165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 正義 神戸常盤短期大学, 教授 (70071397)
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Keywords | 重力波 / レーザー干渉計 / 低温鏡 / サファイヤ結晶 / 熱レンズ効果 / 熱雑音 / 極低温冷凍機 / 複屈折 |
Research Abstract |
重力波検出のためのレーザー干渉計の感度を決める雑音のうち,鏡や懸架系の熱雑音は,それらを構成する材料の低機械的損失化ならびに系の低温化により低減することができる.本研究では、レーザー干渉計の高感度化を,鏡を含む系全体を低温化することにより実現しようとする技術開発ならびに低温鏡の物理研究を行う.最終的には,100m基線長の低温レーザー干渉計によりその技術の成果が発揮されることになるため,本年度は低温鏡の研究を進めると同時に他の計画研究と合同で低温レーザー干渉計を設置することとなる神岡宇宙素粒子研究施設内での基盤整備も行った.低温鏡の素材としての第一候補はサファイヤ結晶であるが,市販されているサファイヤ基材では,使用レーザー波長1.064ミクロンメートルにおいて,その中をレーザービームが1cm走る際にビームパワーの100PPm程度が消失する大きさの光学損失があることが確認されている.この光学損失が低下すればするほど高感度のレーザー干渉計が得られるため,この光学損失を半分でも4分の一でも低下させることが必要である.今回、国内の製造メーカーと協力して開発を進めたが,芳しい成果を得る見通しは立たなかった.しかし,高品質サファイヤ素材製造に必要な条件を評価できたことは重要である.なお,複数のサファイア材料市販品を調達し,その光学的性質・機械的性質を精密に検査するための準備研究を行った.一方、低温下にあっても室温よりその機械的損失が増大しては無意味であり,これまでサファイヤ基材や鏡を懸架するファイバー素材については,その機械的損失が増大せず却って低下するという幸運な結果を得ているが,これまで調べられて来なかった鏡表面上の光学薄膜の機械的損失を低温化で実測することに成功し,低温鏡の実用性を保証する結果を得た.これは世界的にも初めての測定結果であり,特筆に値する(発表論文を執筆中).
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Tomaru, et al.: "Evaluation of the performance of polished mirror surfaces for the TAMA gw detector by use of a wave-front tracing simulation"Applied Optics. 41. 5913-5920 (2002)
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[Publications] K.Kurada, LCGT Collab.: "Progress in Gravitational Wave Detection : Interferometers"Nuclear Physics B (Proc. Suppl.). 110. 202-208 (2002)
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[Publications] R.Takahashi, et al.: "Vacuum-compatible vibration isolation stack for an intererometric gravitational wave detector TAMA300"Review of Scientific Instruments. 73. 2428-2433 (2002)
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[Publications] Shigeo Nagano, et al.: "Development of a light source with an injection-locked Nd:YAG laser and a ring-mode cleaner for the TAMA 300 gravitational-wave detector"Review of Scientific Instruments. 73. 2136-2143 (2002)
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[Publications] T.Tomaru, et al.: "Thermal lensing in cryogenic sapphire substrates"Classical Quantum Gravity. 19. 2045-2049 (2002)
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[Publications] K.Kuroda, et al.: "Japanese large-scale interferometers"Classical Quantum Gravity. 19. 1237-1245 (2002)