2002 Fiscal Year Annual Research Report
多粒子系連立放物型過程の非平衡・動的平衡論とその硫酸系エアロゾル解析への応用
Project/Area Number |
14048204
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飯沼 恒一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40005484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 義之 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00005480)
内田 俊介 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60321973)
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Keywords | 硫酸系エアロゾル / 輸送・反応方程式 / 拡散係数 / 移流速度 / 反応速度定数 / 複合反応 / 平衡定数 / 律速反応 |
Research Abstract |
一般化平衡定数計算サブルーチンの開発 線型定数係数型多元連立輸送方程式の一般解及び動的平衡解を導出し、これら2つの解に基づいて二酸化硫黄を前駆体とする多種類の硫酸イオン誘発核生成・転換エアロゾル群の反応速度定数を決定した。今回、本プログラムの開発の一環として新たな行列式計算サブルーチンを開発した。これは従来いわゆる「掃き出し法」で問題となっていたゼロによる除法を避けるアルゴリズムのコード化であり、2行2列の行列式を用いた一般余因数展開によってこれを実現した。10行10列行列式の計算時間は通常のデスクトップコンピュータで0.5秒弱、演算精度は倍精度型で10^<-8>%程度である。このサブルーチンにより、複雑な素反応混成系の中の主な律速経路を的確に把握出来ることが判明した。 硫酸系エアロゾルの非平衡解析 硫酸系二次粒子の生成・成長機構解明の観点から、二酸化硫黄と水酸ラジカルを前駆体とする9種類の化学種(硫酸系・硝酸系負イオン及び6種の中性ラジカルと硫酸エアロゾルの混在系)の濃度の時間・空間発展を一般解を用いて連立的に計算した。この結果を広島大学・奥山グループのエアロゾル生成・成長実験データと比較し、反応速度定数の一般的で且つ正確な決定手法として確立した。 硫酸系エアロゾルの動的平衡解析 導出した連立偏微分方程式の動的平衡解を用いて、対流圏界面近辺でドイツの研究者らが観測・確認した10種類の硫酸系エアロゾル負イオンを対象とした疑似平衡解析を行った。観測された負イオン濃度の比を本研究で導出した一般化平衡定数の比と一致させ、この平衡定数を支配する反応係数行列式を計算し、行列要素の中で系の反応を支配するものと推定される22個の反応率を決定した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Koichi IINUMA: "Active photometry of atmospheric compositions by microwave breakdown plasma spectroscopy"Journal of Geophysical Research-A. (in press).
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[Publications] Koichi IINUMA: "A reactive transport model for air pollutants"Environmental Chemistry-Proceedings of 2^<nd> European Meeting on Environmental Chemistry. (in press).
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[Publications] 飯沼 恒一: "負イオン研究の歴史と現状"エアロゾル研究. (in press).