Research Abstract |
昨年度開発した放射光マイクロビームを用いた個別粒子X線回折(SR μ-XRD)分析システムにおいて,しゃへい板やビームストップの改良を進めてバックグラウンドを低減させ,さらに保持膜からのブランクを差し引くことで明瞭なX線回折像を得ることに成功した。また,微小1粒子から粉末X線回折パターンを取得するために,試料台を回転させる方法を開発するとともに,試料回転時のビーム位置ずれを解析し,試料位置をビーム位置に追従させる方法を検討し,カンラン石などの既知鉱物微粒子を用いて,その有効性を明らかにした。 黄砂時における日本(丹後半島)と韓国(ByunSan)の同時サンプリングと複合薄膜法,放射光マイクロビーム蛍光X線分析(SR μ-XRF)法の適用により,個別粒子ごとの化学性状の差異を明らかにし,複合薄膜法により求めたCl^-,NO3_^-,SO_4^<2->の混合状態から,2地点での変質特性の差異が明らかとなった。すなわち,黄砂時には韓国では硫酸塩への変質が支配的であったが,日本では硝酸塩が支配的であった。また,丹後半島における黄砂飛来開始時からの時系列サンプリングにより黄砂飛来初期に変質の割合が最も多く,Cl^-/NO_3^-およびSO_4^<2->/NO_3^-を同時に含む内部混合粒子の割合は初期に最も多いが,時間とともに減少することがわかった。 冬季に韓国で8段のアンダーセンサンプラを用いて40分間捕集したサブミクロン粒子の半バルク試料に,ビームザイズを150μm程度に拡大したSRμ-XRF法を適用し,Pb, Se, Srなどの石炭起源元素を検出することに成功した。
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