Research Abstract |
湿性沈着は最も重要な大気の浄化過程である。大気中に排出された酸性物質により,霧や雨は酸性化する。本研究では,霧の生成時や降雨時のレインアウト機構,ウォッシュアウト機構の解明、及び観測データに基づくアジア地域における酸性沈着量の推定を目的とし、以下のような研究課題について検討を進めている。 1.前年度までに実施した霧粒や雨滴などの捕集・固形化・計測法の基礎研究を基に,パルク試料や個別試料中の化学成分の絶対量測定法を確立し,実サンプルについての分析を行った。本研究では,分析にMicro-PIXE,大型放射光SPring-8を応用し,固形化液滴粒子一粒一粒の分析を可能とした。 2.釜石鉱山の立坑を利用した実規模雲発生実験での,雲の生成・成長率,雲水量などの解析を進めている。 3.六甲山にて,霧粒の化学成分濃度,エアロゾルの粒径別化学成分濃度,大気中のガス成分濃度等を同時に測定し,化学収支を調べ,大気汚染物質のレインアウト機構を調べた。霧水への汚染物質の吸収は10〜34%の範囲で硝酸,塩化物が特に大きかった。 4.東アジア酸性雨の観測データの解析では,特に三宅島噴火の影響,及び清浄地域としてのモンゴルに焦点をあて調べた。東アジアはカルシューム塩が多く,硫酸カルシュームの生成プロセスを考慮する必要である。 5.日韓拠点大学共同研究の一環として,巨本及び韓国で黄砂時,非黄砂時にエアロゾルを捕集し、エアロゾル粒子の物理・化学性状特性を解析し、輸送過程での二次粒子化過程を示した。 6.雲の生成,成長,エアロゾルの捕捉をシミュレートするラグランジエ型モデルを作成し,2)雲の発生実験結果の解析,レインアウト,ウォッシュアウト機構の理論的解析を行った。
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