2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14048215
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
芝 定孝 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (40026274)
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Keywords | 化学物理 / 環境質定量化・予測 / 公害防止・対策 / 大気汚染防止・浄化 / 水循環 |
Research Abstract |
本年度は、雲粒によるガス状大気汚染物質のレインアウト予測に用いる数式モデルを組み立てる為に、(1)雲粒の平衡半径を求めるモデルの組み立てとそのモデルによる数値シミュレーション、(2)その平衡半径を組み込んだレインアウトによる物質移動の評価モデルの作成と数値シミュレーションを行った。先ず、(1)については、雲粒平衡半径を正確に予測する為に、既存のKohlerモデルの改良を試みた。Kohlerモデルは雲粒側と大気側のケミカルポテンシャルの平衡条件のみにより導かれているので、大気水蒸気の飽和比あるいは温度の変化を考慮し得ないし、単一のCCNを対象としており、雲粒凝結核が複数個存在する場合にも対応できない。この様な重大な欠点を取り除き、実用的な雲粒の平衡半径を求める新しいモデルを組み立てた。Kohlerモデルの基礎とする平衡条件式の他に、気塊内の水分に対する質量保存則と熱エネルギーの保存則に対する各式を連立させたものである。そして、新しいモデルを用いた平衡半径、飽和比、温度の数値シミュレーションを行った。その結果によると、雲粒凝結核の個数密度の増加につれ気塊内の雲粒の平衡半径と飽和比は減少、温度は増加という予想通りの変化となった。次いで、(2)については、化学種の質量保存則を雲粒および大気に対して適用し、非定常の集中定数系微分方程式を支配方程式とするレインアウトモデルを得、雲粒および大気の科学種について数値シミュレーションを行い雲粒酸性度の非定常変化の特性を検討した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 芝 定孝, 平田雄志, 八木俊策: "大気水蒸気の凝結による雲粒の競合的成長と雲粒の平衡半径"土木学会水工学論文集. 46. 7-12 (2002)
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[Publications] Shiba, S., Hirata, Y., Yagi, S: "Variation of rainwater quality due to interactive mass transfer between raindrops and atmosphere"Development and Application of Computer Techniques to Environmental Studies IX(Eds.Brebbia, C.A.). 139-148 (2002)
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[Publications] Shiba, S., Hirata, Y., Yagi, S: "Effect of Liquide-phase Oxidation of Sulfur Dioxide on Acidification of Growing Cloud Droplet"Air Pollution X(Eds.Brebbia.C.A.). 581-590 (2002)
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[Publications] Shiba, S., Hirata, Y., Yagi, S: "Cloud Droplet Size and Temperature in Equilibrium State Due to Competitive Condensational Growth"Proc 13th Annual Conference of the Aerosol Society. 93-96 (2002)
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[Publications] 芝 定孝, 平田雄志, 八木俊策: "競合的成長における雲粒の平衡半径および平衡温度におよぼす凝結核個数密度の影響"第10回地球環境シンポジウム講演会論文集(土木学会). 10. 203-208 (2002)