2004 Fiscal Year Annual Research Report
変質を伴うエアロゾルの長距離輸送と乾性・湿性沈着量評価
Project/Area Number |
14048217
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鵜野 伊津志 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70142099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅田 誠治 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 主任研究員 (40260187)
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Keywords | アジア / 物質輸送モデル / 酸性降下物 / 黄砂 / 黒色炭素 / 年々変動 |
Research Abstract |
東アジア地域の産業活動の急激な進展に伴い、大気汚染物質の排出量は急増しており、日本を含む東アジア地域全体の環境に多大な影響が懸念されている。本年度は黄砂の年々変動(1993-2003年)の再現性の検証を行うとともに、対流圏物質輸送モデルCMAQの長期積分を開始した。 まず、ダスト輸送モデルを用いて、1993〜2003年のそれぞれ2月20日から4月30日を対象に黄砂の発生・輸送シミュレーションを行った。過去11年間における黄砂現象の発生・輸送過程の年々変動の特徴の解析と、その変動に影響を与えた気象因子について、ECMWFの客観解析データを用いて解析を行った。以下の点が明らかにされた。(1)日本と韓国の目視による黄砂観測日数をモデルの消散係数から再評価した。モデルは概ね黄砂現象の年々変動の特徴を捉えていることが示された。(2)黄砂現象の年々変動のメカニズムについて、発生過程と輸送過程の観点から評価を行った。発生過程においては、ゴビ砂漠付近の強風発生頻度と、最大風速の大きなイベントの出現によってダストの発生量が増減することが明らかとなった。(3)輸送過程について、モデル結果による大気境界層内の総輸送量の水平分布図からダストの輸送経路の年々変動が明らかとなった。輸送経路は年によって変動が大きい。(4)発生源の地表面気象パラメータや輸送経路の年々変動を引き起こしている総観気象場について、ECMWF客観解析データを用いた700hPaジオポテンシャル高度のアノマリー解析から、黄砂多発年は発生源付近で低気圧活動が活発であるために強風発生頻度が高まり、ダストの発生量が増加することを示した。
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Research Products
(5 results)