2002 Fiscal Year Annual Research Report
エアロゾルの降水による沈着の促進と山岳部と都市部における乾性沈着量の比較
Project/Area Number |
14048223
|
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
井川 学 神奈川大学, 工学部, 教授 (70120962)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河内 博 , 助手 (00241117)
|
Keywords | 環境分析 / 大気現象 / エアロゾル / 丹沢大山 / 森林樹冠 / 露 / 霧 / 雨 |
Research Abstract |
我々はこれまで丹沢大山において酸性霧の研究を行ってきたがその中で、大山には樹冠への霧の沈着が多いが、エアロゾルやガスの乾性沈着量も多いことを明らかにした。その原因として霧の発生頻度が高く、葉が常に濡れていることが考えられる。我々はまた、霧の研究に平行して露の研究を横浜にある当大学で行っているが、露の発生により乾性沈着の速度が大きく増大していた。露は年間の20%程度発生し、降雨期間も考えると物体表面の濡れている時間は都市部においても非常に長い。そこで、本研究は、エアロゾルの降水による沈着の促進と、山岳部と都市部における乾性沈着量の比較を目的とし、丹沢大山と神奈川大学横浜キャンパスにおいて、湿性沈着と乾性沈着量の測定を行った。 大山の雨の組成は2000年の三宅島の噴火以降、その濃度が増加しpHも低くなっている。硫酸イオンの濃度の増加は雄山から排出される二酸化硫黄の影響として当然であるが、硝酸イオンの濃度の増加も見られる。同様の傾向は霧水においても見られる。近年、関東平野の北西部におけるオキシダント濃度の増加が指摘されているが、南西部の山岳地帯でも窒素酸化物の酸化の促進による硝酸ガス濃度の増加が起こっており、このことは二酸化硫黄の硫酸への酸化の促進も意味している。霧組成に及ぼす雨の影響としては、大山の中腹において霧の発生のほとんどは降雨に関連し、霧水の濃度は降雨強度の増大とともに増加した。 神奈川大学横浜キャンパスにおいては雨水、エアロゾル、ガス成分とともに、露の分析を行った。露水には様々なイオンの濃度が高いが、さらに雨に比して亜硝酸や亜硫酸のような酸化されやすい物質が多量に存在する。このことは露が、より還元的な条件にあることが予想される。そこで、酸化還元電位(ORP)の測定と過酸化水素の定量を行い、雨水と比較した。その結果、ORPは雨より露の方が低く過酸化水素濃度も露の方が低いことが示された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] M.Takeuchi, T.Hasegawa, H.Okochi, M.Igawa: "Size distribution of dew droplets and dew formation effect on deposition fluxes"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 75巻. 1299-1300 (2002)
-
[Publications] M.Takeuchi, H.Okochi, M.Igawa: "Controlling factors of weak acid and base concentrations in urban dewwater -Conparison of dew chemistry with rain and fog chemistry-"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 75巻. 757-764 (2002)
-
[Publications] M.Igawa, K.Matsumura, H.Okochi: "High frequency and large deposition of acid fog on high elevation forest"Environ. Sci. Technol.. 36巻. 1-6 (2002)