2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14048228
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
塩原 匡貴 国立極地研究所, 南極圏環境モニタリング研究センター, 助教授 (60291887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼保 直樹 産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 主任研究官
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Keywords | エアロゾル / 大気環境 / 東アジア / 地球冷却化 / 直接効果 / エアロゾル光学特性 |
Research Abstract |
1)エアロゾルの直接効果に関する実験観測のために機器整備を行った父島、福江島および乗鞍岳においてエアロゾルの光学観測を継続しデータを収集した。特に、福江島ではグレーティング・サンフォトメータ観測により、春季の黄砂到来に対応したエアロゾル光学的厚さの増大が観測された。また、冬季の父島観測では、寒冷前線の通過とともに大陸性気団に含まれた汚染物質が長距離輸送により父島に到達する様子が観測された。 2)昨年度と同様、日本列島周辺海上でのエアロゾル観測を南極観測船「しらせ」の国内訓練航海期間中(9月4日〜10月4日)に実施した。観測項目は前年度と同様で、エアロゾルの光学特性、化学成分、非水溶性粒子濃度の測定が行われた。今回の洋上観測期間中の特徴的な現象として、九州北西部沿岸海域で非常に濃いヘイズに遭遇した。その時のエアロゾル粒子は微小粒子が卓越し、消散係数も増大した。また、この現象は福江島での地上観測でも検知され、比較的広域で長時間持続していたことがわかった。化学成分やガス成分の分析結果と総合すると、大陸起源の人間活動に起因する人為汚染の影響を受けたエアロゾルであることが示唆された。トラジェクトリ解析によれば、今年度の観測では主に大陸性気団の到来が卓越しており、昨年度の観測と比較して、太平洋起源と大陸起源のエアロゾル特性の相違は明瞭ではなかったが、特に西日本海域の航行中に、非水溶性粒子が多く観測された。 3)A01班との共同により実施された非水溶性エアロゾルの広域地上観測(長崎、岡山、甲府、東京)では、春季の黄砂到来に対応して、非水溶性粒子濃度と粒子サイズが時間的空間的に移動し変化する様子が検出された。 4)スカイラジオメータ観測によるエアロゾルの光学特性(光学的厚さ、粒径分布、複素屈折率)の導出について、地上観測および船舶観測のデータの予備解析を行い、次年度からの本解析の準備が整った。
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