2005 Fiscal Year Annual Research Report
LB法を利用した無機有機ハイブリッド膜の製作と光エネルギー変換機能の開発
Project/Area Number |
14050027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岸 晧彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70001865)
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Keywords | 有機・無機ハイブリッド薄膜 / 光-電気エネルギー変換 / 光機能性液晶 / 金属錯体 / キラル |
Research Abstract |
全体の進展状況:上記の研究課題のもとで、以下のことを行ってきた:(1)LB法による薄膜製造法を用い、厚さ1nmの有機・無機ハイブリッド膜を電極基板上に積層することができた。これによって得られた修飾電極を用い、溶液中のキラル分子の電気化学的検出を試みた;(2)粘土鉱物の層間に光増感性Ru(II)錯体をインターカレートさせ、それを光触媒としてスルフィド等有機分子の不斉酸化光反応を行った;(3)光異性化するキラルな金属錯体を合成し、それをネマチック液晶相にドーパントとして用い、光応答性液晶相の構築を行った。本年度は、上のテーマのうちで特に(3)についての研究を推進させた。 本年度の主な成果:光機能性金属錯体のキラルドーパントの開発:ネマチック液晶にキラル化合物を添加すると、配向ベクトルが螺旋状に分布したキラルネマチック(N*)相が誘起される。これまでに、光学活性な金属錯体で大きなねじり力(コレステリック液晶を誘導する能力)を有するキラルドーパントを開発した。本年度はさらにこれに光機能を付与するために、アゾ基を有するRu(III)錯体やCo(III)錯体を合成した。このように、金属錯体のΔΛ異性とアゾ基によるシスートランス光異性化を組み合わせることはいままで例が無く、この試みによって初めてキラル錯体の光異性化にようる液晶相の構造変化を実現した。 合成したRu(III)、Co(III)錯体はともに、メタノールなどの溶液中で紫外光・可視光照射によって可逆的なシス・トランス異性化し、それに伴った吸収スペクトルおよびCDスペクトル変化を確認した。さらにこれら錯体をドーパントとして加えた液晶(ZLI-1132)中においても、紫外・可視光照射により可逆な光異性化を示した。この変化に伴って、キラルネマチック相の螺旋ピッチが紫外・可視光照射によって伸び縮みすることを確認した。今後は結果を用いた光メモリーへの展開を目指すことを考えている。
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Research Products
(7 results)