気相中における光触媒反応の機構解明と新規応用法の開発

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14050028
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 立間 徹 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (90242247)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 高田 主岳 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20361644)
• Keywords: 光触媒 / 酸化チタン / エネルギー貯蔵 / 酸化タングステン / 非接触酸化 / リソグラフィー / フルカラーフォトクロミック / 銀ナノ粒子

Research Abstract

酸化チタン光触媒は、有機物の分解、抗菌、金属の防錆などの機能を示す。しかし光触媒の反応機構にはまだ不明な点も多いため、これらを明らかにし、得られた知見を基に新しい光触媒システムを開発することをめざしている。光触媒と固体との電子授受と、エネルギー貯蔵への応用に関しては、酸化チタンの光照射により生じた還元エネルギーのリンタングステン酸への貯蔵が、水溶液中だけでなく、気層中においても可能であることを見いだした。その際の、充電速度、充電容量、自己放電速度などについて検討した。また、気層中での充電においては、水分(湿度)が必要であることを明らかにした。光触媒の非接触酸化反応に関しては、解像度の向上を行った。また、非接触酸化反応では酸化チタンのみならず、基板もしくは拡散化学種の光励起も必要であるという二重励起機構の関与を明らかにした。さらに酸化チタン光触媒上で生成した過酸化水素が気相へ放出されることを明らかにした。また過酸化水素の生成には酸素と水が必要であることを見いだした。その他、酸化チタンと銀のナノ粒子を組み合わせた新しいマルチカラーフォトクロミック現象に関しては、光学特性の向上と制御を行い、着色速度の向上と退色速度の制御(加速および減速)を行った。また、多色性は銀ナノ粒子の形状や大きさに依存することを検討した。さらに、酸化チタン上に電気化学的に析出させた銀ナノ粒子もマルチカラーフォトクロミック特性を有することを見いだした。

Research Products

• [Publications] P.Ngaotrakanwiwat: "Charge-Discharge Behavior of TiO_2-WO_3 Photocatalysis Systems with Energy Storage Ability"Phys.Chem.Chem.Phys.. 5. 3234-3237 (2003)
• [Publications] T.Tatauma: "Bactericidal Effect of an Energy Storage TiO_2-WO_3 Photocatalyst in Dark"Electrochem.Commun.. 5. 793-796 (2003)
• [Publications] P.Ngaotrakanwiwat: "TiO_2 -Phosphotungstic Acid Photocatalysis Systems with an Energy Storage Ability"J.Electrochem.Soc.. 150. A1405-A1407 (2003)
• [Publications] K.Kawahara: "Surface Diffusion Behavior of Photo-generated Active Species or Holes on TiO_2 Photocatalysts"Phys.Chem.Chem.Phys.. 5. 4764-4766 (2003)
• [Publications] W.Kubo: "Mechanisms and Resolution of Photocatalytic Lithography"J.Phys.Chem.B. 108. 3005-3009 (2004)
• [Publications] Y.Takahashi: "Energy Storage TiO_2-MoO_3 Photocatalysts"Electrochim.Acta. 49. 2025-2029 (2004)
• [Publications] 立間 徹: "エネルギー貯蔵型光触媒"会報光触媒. 11. 12-15 (2003)
• [Publications] 大古善久: "Ag担持TiO_2膜の多色フォトクロミズム"会報光触媒. 11. 52-55 (2003)
• [Publications] 立間 徹: "酸化チタン-銀ナノ粒子系のマルチカラーフォトクロミズム"OPTNEWS. (5). 36-38 (2003)
• [Publications] 立間 徹: "光触媒の安全性について"産業と環境. (11). 21-23 (2003)
• [Publications] 立間 徹: "デジタルペーパーの各種表示方式と実用化に向けた課題と対応策",第8章"フォトクロミック方式"技術情報協会. 10 (2003)
• [Publications] 立間 徹: "図解光触媒のすべて,("エネルギー貯蔵型光触媒","非接触酸化反応と光触媒リソグラフィー法"),工業調査会"工業調査会. 4 (2003)