2004 Fiscal Year Annual Research Report
多機能性ポルフィリン組織体の構築と界面を利用した光誘起電子移動反応
Project/Area Number |
14050035
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大倉 一郎 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (90089821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天尾 豊 大分大学, 工学部, 助教授 (80300961)
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Keywords | バイオテクノロジー / 触媒・科学プロセス / 酵素反応 / 水素 / 新エネルギー |
Research Abstract |
本研究は高機能性を有する分子配列された多機能性金属ポルフィリン組織体を合成し、光励起分子内電子移動過程を明らかにするとともに、本系を利用した光水素発生システムの構築を目指すものである。ポルフィリンは、可視光領域に強い吸収を有しており、光増感剤としてよく用いられている。また、水素発生触媒には酵素ヒドロゲナーゼが有効であることが知られている。ヒドゲナーゼへの電子伝達は生体内における電子伝達体であるチトクロームc_3が有効であるが、チトクロームc_3は光励起されたポルフィリンとの間で効率の良い電荷分離が進行しない。そこで、電子伝達体としてメチルビオローゲンとを組み合わせた系を検討した。また、電気化学水晶振子微量天秤を用い、チトクロームc_3とメチルビオローゲンの間の電子伝達における分子認識・複合体形成について研究を行った。 ポルフィリン濃度が高濃度の場合、チトクロームc_3の濃度の増加に伴い、水素発生速度が飛躍的に増加した。これは、光励起したポルフィリンから、メチルビオローゲン、チトクロームc_3、ヒドロゲナーゼへと効率よく電子が伝達した結果、水素発生効率が上昇したためと考えられる。このように、電子伝達体としてのチトクロームc_3を用いる系は人工の電子伝達体であるメチルビオローゲンを単独で用いる場合より効率がよい。そこで、チトクロームc_3の有する分子認識・複合体形成などの電子伝達機能の解明を行い、光水素発生の効率化を目指した。チトクロームc_3の電子伝達機構を解析するために、酸化還元と共役した分子間相互作用の測定法として、電気化学的水晶発振子微量天秤を用いたシステムを新たに構築した。これを用いて、まず、チトクロームc_3とビオローゲンとの間の電子伝達複合体形成について検討を行った。電子移動複合体内で電子伝達反応が進行し、チトクロームc_3の還元が終了すると、電子移動複合体は解離することがわかった。チトクロームc_3は還元されると構造変化が起き、ビオローゲンとの間の親和性が変化したと考えられる。アノード応答でも同様の周波数変化が観測されており、チトクロームc_3がビオローゲンと電子伝達する際の複合体形成反応を明らかにした。
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Research Products
(6 results)