2006 Fiscal Year Annual Research Report
多機能性金属ポルフィリン組織体の構築と界面を利用した光誘起電子移動反応
Project/Area Number |
14050035
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大倉 一郎 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 教授 (90089821)
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Keywords | ポルフィリン / 光励起電子移動 / 光水素発生 / ビオローゲン |
Research Abstract |
18年度は新規に調製したビスビオローゲン結合型疎水性ポルフィリンの光化学的性質を明らかにした。さらに、光水素発生反応系を構築し調製した化合物の有用性を明らかにした。 光励起電子移動反応は、エネルギー損失が大きな反応であるため、光励起一重項の利用が望まれる。そこで、水溶液系において光励起一重項経由の電子移動が進行する化合物として、ビスビオローゲン結合型疎水性ポルフィリンを設計した。このポルフィリンは水溶液中では直線状に伸びた立体配置をとり、ビスビオローゲンの2量化が防ぐことができ、多段階の電子移動反応が期待できる。酸化還元電位測定の結果、期待した通り、酸化還元電位の上昇は見られず、分子内の2量化を防ぐことが出来た。 次に、ポルフィリンからビオローゲンへの光励起電子移動について調べるために、蛍光寿命と光励起三重項寿命の測定を行った。ビオローゲン結合型ポルフィリンの光励起3重項寿命はビオローゲンが結合していない場合と同様であることから、光励起三重項からの電子移動は進行していないことがわかった。さらに、ビオローゲン結合型ポルフィリンの蛍光寿命がポルフィリンのみの場合と比較して短くなっていることから、光励起一重項経由でのみ電子移動が進行することがわかった。また、水溶液中で蛍光寿命がさらに短いことから、電子移動が促進されているといえる。これは、水中でsolvent cageの形成に有利であることを示しており、このビオローゲン結合型ポルフィリンの特徴が顕著に見られた。 調製したビスビオローゲン結合型疎水性ポルフィリンと酵素ヒドロゲナーゼとを組み合わせた光水素発生反応を行った。その結果、効率の良い光水素発生反応が進行した。 以上のように、水溶液中で光励起1重項を利用した水素発生反応系を構築することができた。
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Research Products
(6 results)