2006 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化されたナノ階層構造を持つ光機能系のデザイン
Project/Area Number |
14050050
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高木 克彦 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 客員教授 (60023264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 隆広 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40163084)
福島 喜章 豊田中央研究所, 第2特別研究室, 研究室長 (80309004)
笹井 亮 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助手 (60314051)
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Keywords | メソポーラスシリカ / チタニアナノシート / 無機・無機異種界面 / 紫外光電子移動 / 長寿命電荷分離状態 / ビオロゲン / テトラメチルピリジニウムポルフィリン / 光電流の電気化学測定 |
Research Abstract |
著者らは、特定領域研究「光機能界面の学理と技術」(藤嶋昭代表)に計画班員として参加しており、チタニアナノシート(TNS)を利用する光機能界面の構築を研究テーマとして、研究を進めてきており、今年度がその最終年度となる。(TNS)を用いる具体的な光機能界面とは、メソポーラスシリカ(MPS)とチタニアナノシート(TNS)の細孔に、それぞれ色素(TMPyP)と電子受容体(W2+)を別々に取り込み、得られた両複合体を透明電極上(FTO)にスピンコートやキャストにより積層透明薄膜化したものである。この薄膜のTNS層を選択的に紫外光照射すると、TNS層内のMV2+が1電子還元されたラジカルカチオンと別の多孔体シリカ薄膜の細孔内色素(TMPyP)が1電子酸化された対応するラジカルカチオンが生じる。しかもこのように発生した光誘発電荷分離状態は、極めて長寿命(脱酸素下では、半減期が数時間に及ぶ)であり、色素太陽電池への展開のみならず、光電池、光キャパシター、酸素センサーなどの機能材料化も視野に入れることが出来る。これまでの検討で、1電子酸化・還元種の発生はスペクトル的に把握したが、異種界面を介する電子移動のメカニズムや反応挙動を電気化学的に明確に証拠立てる必要がある。 そこで、本年度は、吸収・発光スペクトルを測定しながら、同時に光電流を測定できる装置を組み立て、薄膜表面が溶液に溶け出すことを防ぐため、電解質溶液を水系から非水系(CH3CN)とし、FTO電極上に(MPS/TMPyP)複合薄膜、(TNS/MV2+)複合薄膜の順に積層し、その表面をポリマーでコーティングして電解質溶液中で紫外光照射したら、電極へのアノード光電流とともに、TMPyP色素の1電子酸化が進行した。同時にTNS層内のMV2+が1電子還元された青色のラジカルカチオンが生成した。TMPyPが酸化される初速度で比較すると、発生する光電流量の約9辱0%がTMPyPの酸化分解量となっており、確かにTMPyPからの電子が別の複合体内のMV2+を還元し、ついで電極表面に流入する事実を観測した。
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Research Products
(6 results)