2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14050055
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真嶋 哲朗 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (00165698)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤塚 守 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (40282040)
藤乗 幸子 (佐治 幸子) 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (50197844)
川井 清彦 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (50314422)
遠藤 政幸 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (70335389)
|
Keywords | TiO_2光触媒反応 / 光機能界面 / ラジカルカチオン / 一電子酸化 / 一電子還元 / 過渡吸収測定 / レーザーフラッシュホトリシス |
Research Abstract |
酸化チタン(TiO_2)光触媒は、自然のエネルギーである太陽光のみを利用して有機物を分解することができる。本研究では、TiO_2光触媒による有機化合物の分解反応における重要な初期過程である一電子酸化反応の詳細について明らかにすることにより、高効率・高選択的な光触媒反応系の構築を目指している。本年度は、時間分解拡散反射法を用いてTiO_2光触媒反応における、1)非吸着分子の一電子酸化過程、2)ギ酸イオン(HCO_2^-)を用いたメチルビオロゲン(MV^<2+>)の一電子還元反応、および3)可視光応答型二酸化チタンの光触媒反応について検討した。1)では、4-フェニル安息香酸(PBA)を表面修飾したTiO_2を用いることにより、光照射によってTiO_2内に発生したホールから溶液中に存在するフリーな非吸着分子へのホール移動反応を直接観測した。また、第2のホール移動における二分子反応速度は均一溶液中のそれと比べ立体障害により、およそ3分の2程度減少することを明らかにした。2)では、HCO_2^-およびMV^<2+>共存下でTiO_2を光励起すると、MV^<・+>の吸収が観測され、その生成速度は6.0×10^9 M^<-1> s^<-1>であった。これは水溶液中で得られたCO_2^<・->によるMV^<2+>の一電子還元速度6.4×10^9 M^<-1> s^<-1>と一致した。MV^<2+>はバルク溶液中に存在することから、MV^<2+>の一電子還元反応は溶液中で起こっている。HCO_2^-の一電子酸化によって生成したCO_2^<・->のおよそ8割はTiO_2へ電子を注入し、残りの2割は表面から解離しMV^<2+>を一電子還元することが明らかになった。3)では、無担持TiO_2および硫黄担持TiO_2の励起によって生成したホールはすぐに捕捉剤であるメタノールと反応するが、一方、硫黄および炭素を担持したTiO_2の可視光照射の場合、アセトニトリル中とメタノール中でほぼ等しい吸収スペクトルが観測されたことから、生成したホールはメタノールを酸化できなかった。硫黄および炭素担持TiO_2への可視光照射では酸化電位の低いミッドギャップレベルにホールが生成していることが示唆された。
|
Research Products
(55 results)