2002 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒により発生するラジカル・イオン中間体の動的挙動の制御と機能化
Project/Area Number |
14050069
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石黒 勝也 山口大学, 理学部, 教授 (40202981)
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Keywords | 光誘起電子移動 / 光触媒 / ラジカルイオン / 光化学ドーピング / 犠牲試薬 / 固相光化学反応 / 大気イオン / 結合開裂 |
Research Abstract |
光触媒でPCBやダイオキシンなどのハロゲン化物を分解させるには、還元によりラジカルアニオンを生成させるのが有効である。半導体触媒に多電子がドープされた状態が生成すれば、強い還元能をもつ新たな触媒系の構築が期待される。一光子により移動する電子は1つであるため、複数の電子をドープするには、電子数を増幅するような化学反応を組み合わせる必要がある。そこで、一電子が奪われると崩壊してさらに電子を提供し、最終的に非常に安定な対カチオンとなる犠牲ドナー分子の開発を行った。中性の有機分子(D-D)から電子受容体への電子移動により発生するラジカルカチオン(D-D^<+・>)が結合開裂してラジカル(D^・)とカチオン(D^+)を与え、一般に基質よりも酸化電位が低い(還元能が高い)ラジカルがさらに電子を放出しカチオンとなる反応では、結果的に、D-Dの結合に使われていた2電子が電子受容体に移動される。ピリジニウムのような安定なカチオンを与える犠牲ドナーであれば、一電子還元された半導体微粒子にさらに電子を渡し、この要求を満たし、また、光反応により連鎖的に結合が開裂するドナーを用いれば、より多電子のドーピングが可能と期待される。そこで、このタイプの種々の犠牲ドナーを、電子のドープにより導電体となる可能性をもつテトラシアノキノジメタン(TCNQ)と混合し、固相光電子移動反応により光化学ドーピングが進行することを見出した。現在、導電性カラムを保持するために、LB膜等を用いた構造制御について検討している。また、同様な結合開裂を犠牲型アクセプターに用いることにより、光によるホールのドーピングが可能となる。こうした反応の応用として、半導体に二酸化チタンを用い、過酸化水素を犠牲アクセプターとした系について、放出する大気イオンを調べたところ、負に帯電したイオンが含まれることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Ishiguro, K.Hirabayashi, T.Nojima, Y.Sawaki: "Nucleophilic O-transfer, cyclization, and decarboxylation of carbonyl oxide intermediate in the reaction of stable imidazolylidene and singlet oxygen"Chem. Lett. 796-797 (2002)
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[Publications] 石黒勝也: "光触媒的プロセスにおける一電子シフトの制御についての研究と課題"光触媒. Vol.7. 20-23 (2002)