2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14050083
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
窪田 吉信 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10106312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井川 昇 横浜市立大学, 医学部附属病院, 講師 (00237207)
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Keywords | 光触媒 / 癌治療 / 制癌剤 |
Research Abstract |
光触媒自体は、1.化学的には極めて安定で安全性が高い。2.光によって化学反応をon-offできる制御機能をもつ点で、医学、医療へ応用する場合に望まれた優れる基本的な物質特性をそなえている。複雑な物質構成単位よりなる生体や細胞を具体的な対象として光触媒の機能を最大限に引き出す応用やそのために特化した新しい高機能光触媒の開発などを行うのが本研究の目的である。 今年度は光触媒による疾患治療への応用の検討を行なった。 1)光触媒による疾患治療への応用(1)殺細胞効果のメカニズムの検討では、光触媒による細胞死のメカニズムは、アポートシス誘導やDNAの障害などよりむしろ、光触媒反応による細胞膜の脂質や膜タンパクの機能障害などによることが主であると考えられた。 2)光触媒による疾患治療への応用(2)光触媒反応により抗腫瘍効果を得る方法の開発では、 a)TiO_2微粒子を癌細胞等に強制的に導入し、光照射により抗腫瘍効果を得る方法を検討した。比重の重い金粒子にTiO_2を付着させた金粒子を静電法やスパッタ法(青山学院大学 重里研が協力)にて作成した。その化学的な安定性と光触媒能を確認した後に、ヘリウムガスの圧力で実験動物に移植されたヒト癌組織に皮膚を通して強制的に導入できた。その後、2m watt/cm^2程度のUVAによる光照射を体外より行うと、TiO_2微粒子と光照射を行った時にのみ抗腫瘍効果(腫瘍の縮小ないし増殖の停止効果)が認められた。 b)酸化チタン表面を化学修飾したゾルによる抗腫瘍効果の検討をも行った。 3)光触媒による疾患治療への応用(3)光スイッチの検討では、光触媒に薬剤を担ささせ光により効果を制御する(光スイッチ)方法の具体化の検討を行った。 2)a)で作成した金粒子に担持させたTiO_2微粒子の吸着能を利用し微粒子上に制癌剤の1つアドリアマイシンを担持させた。ラットの口腔粘膜にこの微粒子を強制的に導入すると粘膜に薬剤による強い皮膚炎と潰瘍の形成が現れたが、光を照射するとこの反応を減弱させることができた。
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Research Products
(3 results)