2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14076203
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 裕三 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (00282012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 茂雄 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (10282013)
大谷 啓太 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (40333893)
松倉 文礼 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (50261574)
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Keywords | 量子コンピューター / 核スピン / 歳差運動 / 量子井戸 / GaAs / ファラデー回転 |
Research Abstract |
本研究では、半導体量子構造におけるスピン偏極電子と核スピンとの間の相互作用のダイナミクスを明らかにするため、円偏光パルスを励起光として用いた時間分解ポンププローブ測定及び時間分解ファラデー回転測定を行い、動的核スピン分極とその緩和過程を電子のラーモア歳差運動の振動数より調べた。また、時間分解ファラデー回転測定システムを整備してこれを高感度化し、GaAs(110)基板上に形成したGaAs/AlGaAs単一量子井戸における動的核スピン分極を観測可能にした。得られた成果は以下の通りである。 ・n-GaAs/AlGaAs(110)単一量子井戸構造においてg因子の異方性に起因する核スピン分極の双安定性とヒステリシスを時間分解ファラデー回転法により観測した.g因子の異方性と超微細相互作用による自己無撞着を考慮してラーモア周波数の磁場依存性を計算したところ,実験結果とよく一致する結果を得た.このとき用いた核スピン間の双極子双極相互作用に起因する変動磁場の値は理論上予想されている約1mTに比べて80mTという大きな値となった. ・井戸幅の異なる(110)GaAs/AlGaAs量子井戸について動的核スピン分極の大きさを系統的に測定し,g因子の異方性の大きさと核スピン分極の大きさについて調べ,実験で得たg因子より計算した平均電子スピンの値が核スピン分極とよく一致することを示した. ・(In,Ga)As/(Al,Ga)As量子井戸構造を作製し,電子スピン緩和時間とその磁場依存性について調べた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Sanada: "Hysteretic dynamic nuclear polarization in GaAS/AlxGal-xAs(110) quantum wells"Physical Review B. 68. 241303(1)-241303(4) (2003)
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[Publications] K.Morita: "Electron Spin Dynamics in InGaAs Quantum Wells"Physica E. 印刷中. (2004)