2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14076206
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
斎木 敏治 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (70261196)
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Keywords | 近接場光学顕微鏡 / プローブ / 量子構造 / 波動関数 / 磁気光学効果 / カー効果 |
Research Abstract |
まず近接場光学顕微鏡(NSOM)の高分解能化と偏光検出感度の向上に取り組んだ。NSOMプローブは光ファイバをテーパー化し、遮光金属膜を塗布した後、先端に微小開口を作製することにより準備した。開口を通して反射光をできる限り効率よく集光する必要があるため、テーパー構造の設計をFDTD法計算機シミュレーションによっておこない、2〜3倍の感度向上を確認した。設計された構造を化学エッチングによって実現し、金コートの後、開口を試料への押し付け法によって作製した。単一蛍光分子、ならびに単一量子ドットのイメージングを通して、10〜30nmの空間分解能を確認した。 30nmの空間分解能を利用し、量子構造に閉じ込められた電子(励起子)の波動関数の実空間マッピングをおこなった。量子井戸に自然に形成されるアイランド構造(サイズ約100nm)を対象とし、励起子、励起子分子の発光分布(波動関数)の違いを明瞭に観察することに成功した。実際の物質パラメータを取り込んだ数値計算との一致も確認した。 磁気光学効果によるスピン状態の観測のため、NSOMにおける偏光検出感度の向上を目指した。これまでのクロスニコル配置だけではなく、バランス検出、光弾性変調器による偏光変調検出などを試み、いずれにおいても改善を確認した。その他、ファイバの固定法や背景光除去などの細かな工夫をおこない、全体として前年度と比較して5倍程度の感度向上を達成することができた。また、スピン状態の制御を目的として、低温・磁場下にて動作するNSOMを設計し、その製作にとりかかった。 NSOMによる磁気光学計測のデモンストレーションとして、GGG薄膜、ハードディスク、MOディスクなどの観察を試みた。観察波長にも依存するが、いずれの試料に対しても反射配置(カー回転計測)において、100〜200nmの空間分解能を確認した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Matsuda, T.Saiki, S.Nomura, M.Mihara, Y.Aoyagi: "Near-field photoluminescence imaging of single semiconductor quantum constituents with a spatial resolution of 30nm"Applied Physics Letters. Vol.81 No.12. 2291-2293 (2002)
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[Publications] S.Hosaka, T.Shintani, H.Koyanagi, K.Katoh, T.Nishida, T.Saiki: "Far-field and near-field optical reading of under-50 nm-sized pits"Japanese Journal of Applied Physics. Vol.41 No.8A. L884-L886 (2002)
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[Publications] K.Sawada, H.Nakamura, H.Kambe, T.Saiki: "FDTD analysis of a near-field optical fiber probe with a double tapered structure"IEICE Transactions on Electronics. Vol.E85-C No.12. 2055-2058 (2002)