2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14076210
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宗片 比呂夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60270922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
腰原 伸也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10192056)
近藤 剛 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70323805)
松田 康弘 岡山大学, 理学部, 助教授 (10292757)
大岩 顕 東京大学, 工学系研究科, 講師 (10321902)
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Keywords | 磁性半導体 / 磁性・半導体ナノ複合構造 / キャリア誘起磁化 / 円偏光 / スピンダイナミクス |
Research Abstract |
(1)強磁性半導体(Ga,Mn)Asへの窒素添加効果 (Ga,Mn)Asに多量の窒素を添加した単結晶薄膜を作製し、窒素添加と強磁性の因果関係を系統的に調べた。置換型窒素によって結晶格子がわずかに縮む結果、薄膜の磁気異方性が変化して、強い垂直磁気異方性が発現することがわかった。一方で、窒素導入によりキャリア正孔の局在性が増大して正孔の遍歴性が失われてキュリー温度が低下してしまうことも明らかとなった。以上の結果は、二重交換相互作用に基づく強磁性発現モデルがこの系で成り立たないことを示している。 (2)光誘起才差運動とメカニズム 昨年度見出された強磁性(Ga,Mn)Asの光誘起才差運動の起源を良く制御された実験によって系統的に検討した。光照射によって結晶中の磁気異方性が変化し、そのために強磁性Mnに対する内部磁場が変化して才差運動が起こることを突き止めた。磁気異方性の変化は、光照射による温度上昇に起因するものではなくて、キャリア濃度の一時的な増大による可能性が強いと考察した。LLG方程式による理論解析は、内部磁場の持続時間は1から10nsであり、通常の半導体における光生成キャリアの寿命よりも長い。長い持続時間が本質的に新しい物理現象なのか、あるいは、キャリアのトラップなどの外的因子に関連するかを探ることが今後の課題となろう。 (3)光誘起磁化の直接観測 開発を進めてきたレーザ走査型磁気光学顕微鏡がとうとう立ち上がり、(Ga,Mn)As中の面内磁化した微小ドメインの観察が可能となったことに加えて、円偏光照射による磁化の回転を直接観測することに世界に先駆けて成功した。 (4)スピン光起電力の実験 高品質III-V族p-nヘテロダイオードにおいて、再現性の良い円偏光依存光起電力を得ることに成功するとともに、ヘテロ接合に対するスピン拡散過程の理論的解析を世界に先駆けて開始した。
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Research Products
(7 results)