2004 Fiscal Year Annual Research Report
半導体/強磁性体複合構造におけるスピン注入とそのデバイス応用に関する研究
Project/Area Number |
14076213
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
山田 省二 北陸先端科学技術大学院大学, ナノマテリアルテクノロジーセンター, 教授 (00262593)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤堀 誠志 北陸先端科学技術大学院大学, ナノマテリアルテクノロジーセンター, 助手 (50345667)
|
Keywords | スピン軌道相互作用 / 細線 / サイドゲート / 狭ギャップ半導体 / ヘテロ接合 / 分子線エピタキシ / スピントランジスタ / 量子計算素子 |
Research Abstract |
本研究全体の目的は a)新狭ギャップヘテロ接合の開発、 b)高効率スピン注入電極の実現、 c)スピントランジスタの最適設計と素子作製、 の3つである。平成16年度は特にa)c)に関連して以下に示すような進展があった。 1)厚膜InAlSbを採用した構造によりGaAs基板上変調ドープInGaSb/InAlSbヘテロ構造の分子線成長に成功した。低温での電子移動度は1.2x10^5cm^2/Vsec(シート電子濃度3x10^<11>/cm^2)で、これは従来の最高値にほぼ匹敵する値である。また、磁気抵抗によるRashba型スピン軌道相互作用の評価も行った。スピン軌道結合定数の大きさは30-40x10^<-12>eVmで、これはほぼ従来のInGaAs/InAlAsヘテロ接合における値と同じである。 2)スピントランジスタ実現に向け重要と考えられる1次元伝導構造についての検討の第2段階として、両側にサイドゲートをもつ細線素子を作製しスピン軌道相互作用の2つのゲート電圧の組み合わせに対する依存性を詳細に評価した。その結果、サイドゲート電圧の和が比較的小さいときは水平方向の電界の効果が現れ、スピン軌道結合定数が2つのゲート電圧のバランスが取れたとき最小値を取るのに対し、サイドゲート電圧の和が比較的大きいときはスピン軌道結合定数はゲート電圧に対して単調に増加することがわかった。この結果は、垂直方向の電界に比べ水平方向の電界の効果は比較的小さいものの(簡単な理論では約1/10)、サイドゲートによるスピン軌道相互作用の制御は基本的に可能であることを示しており、Rashbaスピントランジスタを基礎にした量子ビット素子(2重ゲートタイプ)の実現にさらに一歩近づく結果となっている。
|
Research Products
(6 results)