2004 Fiscal Year Annual Research Report
核スピンおよび電子スピン量子ビットの作製と量子操作の実現
Project/Area Number |
14076215
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊藤 公平 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (30276414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樽茶 清悟 東京大学, 物理工学研究科, 教授 (40302799)
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Keywords | スピン / 半導体 / 同位体 / 量子操作 / スピントロニクス |
Research Abstract |
核スピン量子構造および電子スピン量子ドットのデバイス作製に向けた技術開発を行った.核スピン量子ビットの実現に向けて,核スピンをもたない^<28>Si基板上に,核スピンを有する^<29>Si量子ビットを一列に並べる技術の開発に成功した.また,さまざまなSi半導体超構造を分子線エピタキシー(MBE)装置を用いて作製し,特に核スピン層内の核スピン濃度,スペーサー層の厚みの位置と濃度などを系統的に変化させた一連の試料を作製することに成功した.さらに,シリコン基板上でGe量子ドットの位置と大きさを制御する技術を確立した.ここでは原子間力トンネル顕微鏡を用いて,シリコン基板の一部のみを局所的に酸化し,穴を掘ることによって,そこだけにGe量子ドットが成長する条件を見出した.この技術は電子スピン量子ビットの実現にむけて有用であると期待される. 電子スピンと核スピンを操作し,読み出す技術として,核磁気共鳴および電子スピン共鳴装置を用いた研究を進めた.核スピン量子ビットのデコヒーレンス時間は,25秒を得ることに成功し,これは固体で測定された最も長い位相記憶時間である.この記憶時間中には,1量子ビット演算が100万回,2量子ビット演算が1万回可能だと予想され,実用的な量子コンピュータに必要な条件を満たしつつある.また,電子スピン共鳴を用いて核スピンを読み出す技術を開発した.具体的には,シリコン中に添加されたリン不純物に束縛された電子スピンのデコヒーレンスが,周辺の^<29>Si量子ビットの状態によって変調され,そのフーリエ変換によって核スピン状態が読み出せることを見出した.
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Research Products
(5 results)