2004 Fiscal Year Annual Research Report
電子スピンの電界・磁界操作による量子情報デバイスのデザイン
Project/Area Number |
14076216
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
江藤 幹雄 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (00221812)
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Keywords | 量子ドット / 量子情報デバイス / 量子コンピューター / シリコン量子ドット / 位相緩和 / ファノ共鳴 / 近藤効果 / 希薄磁性半導体 |
Research Abstract |
量子情報デバイスへの応用を念頭におき、半導体量子ドット中の電子スピン制御のための基礎研究を進めた。(i)電子スピンのコヒーレンスの維持に有利なシリコン量子ドットに着目し、その電子状態を調べている。今年度は、経験的tight-binding modelを採用し、シリコンの結晶構造を取り入れた微視的な電子状態の計算をおこなった。通常作製される量子ドットの場合、伝導帯の多谷構造を反映して離散準位の縮退が残ること、その結果高スピン状態が容易に実現できること、昨年度までの有効質量近似による考察が正当化されること、がわかった。(ii)シリコン量子ドットを複数結合した系の電子状態を調べた。電子スピン間の反強磁性結合の大きさを評価して、量子ドット中の電子スピンを量子ビットに用いた量子演算素子作製の可能性と問題点を明らかにした。(iii)量子ドットにおける電子の位相緩和の解明には、量子ドットを埋め込んだAharonov-Bohmリングの電気伝導測定が有力である。この系の位相緩和の原因の一つとして電子格子相互作用に着目し、有限バイアス下での非平衡輸送特性への影響を調べた。LOおよびLAフォノンとの結合が、共鳴トンネルやファノ共鳴にどのように反映するかを明らかにした。(iv)量子ドット中に複数の準位がある場合の電子スピン状態と輸送現象の研究をおこなった。リード中の伝導電子とのコヒーレンスに起因する近藤効果と電気伝導特性を、スケーリング法および数値繰り込み群法を用いて調べ、それらの準位間隔依存性を解明した。(v)希薄磁性半導体(Ga, Mn)As,(Ga, Mn)Nの電子状態を局所密度近似を用いた第一原理計算によって研究した。クラスターモデルを採用し、Mn原子の局在スピン状態およびMnとともにドープされるホールの波動関数の性質を調べた。物質によって異なる強磁性発現機構を示唆する結果を得た。
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Research Products
(10 results)