2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14076217
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹内 淳 早稲田大学, 理工学部, 教授 (80298140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 剛正 早稲田大学, 理工学部, 助手 (00339699)
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Keywords | スピン / InGaAs / 量子井戸 / GaN / Elliot-Yafet / Dyakonov-Perel / スピン緩和 |
Research Abstract |
本研究では、InGaAs量子井戸やGaNを代表的な材料とする非磁性の化合物半導体のキャリアスピンのダイナミクスとその制御性を調べる。InGaAs量子井戸のキャリアスピンの緩和時間は数ピコ秒程度と極めて高速であるため、高い時間分解能(200fs)を持つ時間分解吸収測定を用いた.既に報告したように室温でのInGaAs/InP量子井戸のスピン緩和時間は5.2ピコ秒であり、GaAs量子井戸よりも短い。今回の計測では、13Kでのスピン緩和過程を測定した。InP基板上にMOCVDを用いてInGaAs層6.5nmとInP層10.0nmを269周期重ねたInGaAs/InP量子井戸の時間分解吸収測定では、明瞭にスピン緩和過程が観測された。得られたスピン緩和時間は26.2ピコ秒であった。室温よりも遅くなる点はGaAs量子井戸での観測結果と似ている。GaAs量子井戸では、20K以上ではD'yakonov-Perel'効果が支配的である可能性が高い。今後、スピン緩和時間の温度依存性を測定しスピン物性を解明する。 GaN系材料については、これまでにInGaNではスピン偏極が観測されないことを報告した。窒化物半導体ではGaAsとは異なり、Aバンド(重い正孔)、Bバンド(軽い正孔)から1対1の比率で逆向きのスピンが励起される。この二つのバンドのエネルギー差は10meVと小さいため、In組成の空間ゆらぎが生じるInGaNではスピン偏極の観測は困難である。しかし、GaNではAバンドの選択的な励起によってスピン偏極の生成が期待できる。本研究では、まずGaNのフォトルミネッセンススペクトルを測定した。MOCVD法によってサファイア基板上に成長したGaN(厚さ2.2ミクロン)では、A励起子とB励起子の発光が明瞭に分離して観測された。この高品質なサンプルでスピン偏極の観測を行う予定である。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] A.Tackeuchi, T.Kuroda, Y.Nakata, M.Murayama: "Electron Spin Flip by Antiferromagnetic Coupling between Semiconductor Quantum Dots"Jpn.J.Appl.Phys.. 42, Part 1,7A. 4278-4281 (2003)
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[Publications] T.Kitamura, R.Ohtsubo, K.Yamaguchi, A.Tackeuchi: "Direct observation of phonon relaxation bottleneck in InAs quantum dots of high-uniformity"phys.stat.sol.(c). 0,No.4. 1165-1168 (2003)
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[Publications] 藪下智仁, 黒田剛正, 竹内淳: "GaN中のキャリアのスピン偏極の測定"第64回応用物理学会学術講演会講演予稿集. No1. 311 (2003)
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[Publications] 北村崇光, 大坪亮, 濱崎陽介, 黒田剛正, 山口浩一, 竹内淳: "高均一InAs量子ドットにおけるキャリア緩和機構2"第64回応用物理学会学術講演会講演予稿集. No3. 1273 (2003)
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[Publications] 村山雅洋, 大坪亮, 北村崇光, 黒田剛正, 山口浩一, 竹内淳: "高均一InAs量子ドットにおけるスピン偏極の観測4-温度依存性"第64回応用物理学会学術講演会講演予稿集. No3. 1274 (2003)
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[Publications] 黒田 剛正, 藪下 智仁, 竹内 淳, 谷口 和与至, 千野根 崇子: "GaNの自由励起子のサプビコ秒スピン緩和の観測"第51回応用物理学関係連合講演会講演予稿集. No1(未定). (2004)
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[Publications] 小菅智丈, 黒田剛正, 竹内淳, 谷口 和与至, 千野根崇子: "GaNのABEのスピン緩和の観測"第51回応用物理学関係連合講演会講演予稿集. No.1(未定). (2004)
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[Publications] 村山雅洋, 鈴木康太, 高河原俊秀, 山口浩一, 竹内 淳: "高均一InAs量子ドットのスピン緩和時間の温度依存性"第51回応用物理学関係連合講演会講演予稿集. No.3(未定). (2004)
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[Publications] 赤坂俊輔, 宮田匠悟, 黒田剛正, 竹内 淳: "InGaAs/InP多重量子井戸のスピン緩和時間の温度依存性"第51回応用物理学関係連合講演会講演予稿集. No.3(未定). (2004)
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[Publications] 濱崎陽介, 鈴木康太, 北村崇光, 黒田剛正, 山口浩一, 竹内 淳: "高均一InAs量子ドットにおけるキャリア緩和機構-ウェッティングレーヤーからのキャリア緩和"第51回応用物理学関係連合講演会講演予稿集. No.3(未定). (2004)
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[Publications] 大嶽浩隆, 中田義昭, 黒田剛正, 横山直樹, 竹内 淳: "均一量子InAs量子ドットと不均一量子ドットの発光再結合時間の比較"第51回応用物理学関係連合講演会講演予稿集. No.3(未定). (2004)
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[Publications] 宮田匠悟, 赤坂俊輔, 黒田剛正, 竹内 淳: "InGaAs/InP多重量子井戸のスピン緩和時間のキャリア温度依存性"第51回応用物理学関係連合講演会講演予稿集. No.3(未定). (2004)