2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14076217
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹内 淳 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80298140)
|
Keywords | スピン / GaN / 量子ドット / 量子井戸 / Elliot-Yafet / Dyakonov-Perel / スピン緩和 / InAs |
Research Abstract |
本研究では、InGaAs量子井戸やInAs量子ドット、窒化物半導体などの非磁性の化合物半導体のキャリアスピンのダイナミクスとその制御性を調べてきた。実験的には、時間分解フォトルミネッセンス法と時間分解吸収測定法を用いてピコ秒からフェムト秒領域のスピンダイナミクスの解明に取り組んだ。今年度は、ワイドギャップ半導体であるバルクGaNのアクセプタ束縛励起子(ABE)のスピン緩和時間の測定に取り組んだ。 六方晶GaNでは、円偏光励起によってAバンド(重い正孔)とBバンド(軽い正孔)から1対1の比率で逆向きのスピンが励起される。MOCVD法によってサファイア基板上に成長したGaN(厚さ2.2micron)の10Kでのフォトルミネッセンススペクトルでは、A励起子からの発光(FEA)とB励起子からの発光(FEB)の他に、波長3.46eVにABEのショルダーが見える。この束縛励起子は、温度を上げると50Kではほとんど観測できなくなった。このABEのスピン緩和を測定するために立方晶GaNと同様に時間分解ポンプ・プローブ反射計測を行った。このときの測定波長はABEの発光ピークに合わせた(3.46eV)。ABEからの信号強度が弱いため,ロックイン計測においてはS/N比向上のためにEO変調器で300kHzの高周波変調をかけ、低周波ノイズの低減を図った。15KでのABEのポンプ・プローブ反射計測の測定の結果、得られたスピン緩和時間は1.1psであった。これは150KのAバンド自由励起子のスピン緩和時間0.47psに比べて2倍ほど遅いが極めて高速の緩和である。六方晶ナイトライドでは、固有の高速のスピン緩和メカニズムが働いていると考えられる。
|
Research Products
(1 results)