2004 Fiscal Year Annual Research Report
強光子場分子ダイナミクスとその制御の電子・核波束動力学理論
Project/Area Number |
14077203
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河野 裕彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70178226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤村 勇一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90004473)
大槻 幸義 東北大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40203848)
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Keywords | 強レーザー場 / 電子波束 / 最適制御パルス / フラーレン / 光電子スペクトル / 反応制御 / 時間依存断熱状態 / キラル分子 |
Research Abstract |
1.強レーザー場中の分子のイオン化確率の計算 束縛電子ダイナミクスを扱える電子波束計算法と強光子場多体S行列理論を融合させた。まず,本手法をH^+_2に適用し,電子波束厳密grid計算法で得られた強い光による増強イオン化(核間距離R=2Åから5Åの間でイオン化確率が増大)を再現することを確認し,励起状態を取り入れる必要性を明らかにした。この新たに開発した手法をすでに水素分子の光電子スペクトルの計算に適用している。 2.非解離性C_<60>多価カチオン生成の機構解明 C_<60>が近赤外高強度超短パルス(〜70fs)と相互作用すると,+12価までの安定なC_<60>多価親カチオンだけが生成すことがP.Corkumらによって報告された。まず,密度汎関数法による電子状態計算によって,+14価までの多価カチオン親分子が安定な分子構造を持つことを明らかにした。また,イオン化に伴ってカチオンが得る余剰分子振動エネルギーが極めて小さく解離が起こり難いことを明らかにした。 3.反応制御理論の展開とその応用 (1)散逸環境下での量子最適制御問題の解法アルゴリズムの開発と波束制御機構の解明 溶液反応レーザー制御を目的に,水中のヨウ素イオン解離に対し最適パルスを設計し,第一水和圏内では有効に光解離波束を制御できることを明らかにした。系の時間発展の記述には混合量子・古典分子動力学計算を用いた。 (2)分子量子コンピュータの最適制御シミュレーション (3)光制御分子モーター フェムト秒領域で回転できる光駆動モーターモデルを理論的に構築した。アルデヒド基を回転部位に持つキラル分子はそのキラル性から由来する非対称内部回転ポテンシャルを持つ。平面偏光UV光励起レーザーのポンプーダンプ型の照射による分子内回転の方向は電子励起状態でつくられた波束の運動方向によって決まる。実験的観測方法として時間分解イオン化スペクトルを利用する方法を提案した。
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Research Products
(11 results)