2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14077209
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 一隆 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (20302979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弘中 陽一郎 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (20293061)
中野 秀俊 日本電信電話(株), NTT物性科学基礎研究所, 主幹研究官 (90393793)
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Keywords | 放射線・X線・粒子線 / 量子ビーム / 光物性 / 光源技術 / 高性能レーザー |
Research Abstract |
高強度フェムト秒レーザー光を真空中で金属ターゲットに集光照射することにより、超短パルス硬X線を発生し、これを用いたフェムト秒時間分解X線回折を用いた物質ダイナミクスの研究を行った。本年度は、50フェムト秒レーザー光励起によるCdTe単結晶のコヒーレント光学フォノン計測に成功した。光学フォノンは重心が固定された運動であるため、結晶格子間隔の変化に対応する回折角度の変化がない。そのために通常のX線回折法では検出することができない。本研究では、格子振動周期よりも短いパルス幅の光パルスを用いて励起することで、位相の揃ったフォノンであるコヒーレント光学フォノンの励起を行った。これに加えて、振動周期よりも十分短い時間分解能での測定を行うことにより、X線回折強度の変調として、コヒーレント光学フォノンの計測に成功した。50フェムト秒レーザー光照射を行うと、X線回折強度は20ピコ秒以内に強度減少することが観測された。また、この状態を20フェムト秒の時間ステップでX線回折測定を行うと、約200フェムト秒の周期(5THz)の振動成分がCdTe(111)のX線回折強度の時間プロファイルに現れた。ラマン分光測定との比較から、この振動はCdTeのガンマ点におけるLOフォノンであることが分かった。また、フェムト秒時間分解反射率測定も行い、励起されたフォノンがCdTeのLOフォノンであることを確認した。 本研究で、200フェムト秒の振動が観測されたことから、200フェムト秒の時間分解X線回折測定が可能であること、またフェムト秒レーザー誘起プラズマX線のパルス幅が数百フェムト秒であることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)