2003 Fiscal Year Annual Research Report
パルス伝播効果とレーザー誘起コヒーレンスを取り入れた量子制御理論の構築
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14077211
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中嶋 隆 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教授 (50281639)
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Keywords | パルス伝播 / コヒーレンス / 自動電離 |
Research Abstract |
昨年度は束縛2準位媒質に2色レーザーが入射した場合について、パルス伝播ダイナミクスを数値計算および解析によって明らかにした。本年度は昨年度に引き続き、媒質が内在的なコヒーレンスを持つ系について伝播ダイナミクスを調べた。このような系においては、系自身が光子場のあるなしにかかわらずコヒーレンスを持つため、束縛準位系には見られない何らかの干渉効果が見られるはずである。単一原子のダイナミクスを記述する波動方程式と光子場を記述するマクスウェル方程式の連立偏微分方程式を連立して解いた結果、束縛状態系には見られない奇異な振る舞いが見つかった:3光子励起によって媒質の自動電離付近に励起をした場合、3倍波発生の位相整合がとれている条件下では、通常、基本波と位相整合のとれた(つまり位相差が0である)3倍波が発生・伝播すると考えられるが、実際の所、位相差は0ではなく、自動電離媒質の持つ内在的なコヒーレンスによってその値は決定される。言い換えれば、位相差の値は自動電離共鳴のプロファイルおよび励起レーザー波長の共鳴中心からの離調に強く依存する。この結果は3光子遷移と1光子遷移の強度比には敏感ではない。つまり、3光子遷移が1光子遷移に比べはるかに強い条件下でも成り立つ結果である。数値計算結果をよりよく理解するため、弱励起を仮定することによって波動方程式(2式)とマクスウェル方程式(2式)の連立偏微分方程式(計4式)をマクスウェル方程式のみの連立微分方程式(2式)へと帰着し解析を行ったところ、数値計算の結果をよく説明できることがわかった。
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Research Products
(1 results)