2005 Fiscal Year Annual Research Report
強レーザー場と結合した高励起分子振動・分子集団運動の非線型動力学
Project/Area Number |
14077212
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
戸田 幹人 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (70197896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 正隆 名古屋大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (50201679)
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Keywords | 高励起振動 / アーノルドの網の目 / ウェーブレット / 1 / f / 統計的反応論 / ビーズモデル / 量子カオス / ランダム行列 |
Research Abstract |
第一は、高励起振動状態の分子における振動エネルギー再分配過程に対して、アーノルドの網の目に基付くモデルを作り、非エルゴード的な場合における反応過程の解析を行った。まず、非一様なアーノルドの網の目における動力学をウエーブレットを用いて解析し、その振幅値は時間的変動が大きく、特に非線形共鳴の近傍に滞在している場合、特定の周波数成分が強く励起されている事を明らかにした。また、いくつかの振動モードに分配されたエネルギーが再び集まってくるという「再帰」現象が生じることを見出した。また、非エルゴード性が、反応係数のような統計的物理量にどのように反映するのかを調べ、滞在確率が時間に関してべき的に変化する事を発見した。このような軌道は、作用の値のフーリエ変換が1/f的であることも見出した。以上のように相空間が非一様な系における滞在時間分布は、軌道が経めぐる領域に応じて異なる統計的性質を示し、統計的反応論が前提とするレート方程式の成立に疑問が投げかけられる。第二に、たんぱく質のモデルである46ビーズモデルの分子集団運動の抽出と特徴付けを、ウエーブレット解析に依拠した局所主成分解析に基付いて行った。まずすべての自由度に対してウエーブレット解析を行い、その概観を特徴付けるために、分布関数に関するカルバックエントロピーに基付く距離を計算した。また大振幅振動を行っている自由度の数を評価するために、ウエーブレット成分に対する局所主成分解析を行い、モデルが大振幅で運動しているとき、その自由度の数は限られており、Goモデルでは約15であることが分かった。第三に、多自由度量子系に対して、非線形動力学に依る量子絡み合い生成における普遍性クラスを、量子カオスの動的過程の解析とランダム行列理論に依拠して提唱した。
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Research Products
(5 results)