2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14077216
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
萱沼 洋輔 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (80124569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (80236588)
野場 賢一 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (30316012)
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Keywords | 半導体ドレストバンド / バンドギャップ変調 / Floquet理論 / 動的局在 / 非断熱制御 / 量子ドット / 量子ビット / ヤーンテラー効果 |
Research Abstract |
(1)振動外場で変調された半導体ドレストバンド GaAsなどの共有結合半導体に、非共鳴赤外レーザーを照射すると、みかけのバンドギャップが縮むという現象が報告されている。前年度までに完成した1次元モデルの定式化を踏まえ、現実的な3次元系に対する定式化を行い、ほぼ完成させた。ダイヤモンド構造を持った結晶格子上の各原子に2sおよび2p軌道からなる4個の原子軌道を置き、レーザー電場との相互作用を厳密に取り込んだtight-binding-modelにもとづくバンド計算を行い、プローブ光による過渡的光吸収スペクトルの計算を実行した。その結果、赤外レーザー場との相互作用により、バンド幅が縮む(動的局在)ことと、バンドギャップの下に新たな吸収が出現するという2つの効果が競合して起こることが分かった。GaAsに対するパラメータを用いて計算した結果は、実験によるシグナルの形状をよく再現することが分かった。 (2)量子ドット配列における電子の非断熱制御 量子コンピユータの素子qubitの実体として、結合した2つの量子ドットを用いる提案がなされている。この結合量子ドット中の電子の制御において、滑らかな外場のみを用いる新たな方法(非断熱制御)の提案を行った。2つの量子準位の交差を2回行うことで、非断熱遷移経路間の位相干渉を起こさせ、望むままのユニタリゲートが実現できること、およびそのパルス波形のデザインにZenerの行列が有効に使えることを示した。 (3)グラファイトにおける超高速緩和過程とX線発光スペクトル グラファイトの1s内殻から内殻励起子状態への共鳴励起にともなう再結合発光の実験の解析を行った。共鳴励起状態で、非占有軌道に上がった電子の(擬)ヤーンテラー効果により、ボンド切断型の原子移動が誘起され、これが発光スペクトルの低エネルギー側への裾構造をもたらす。すなわちこれが、X線領域のホットルミネッセンスである。クラスター・バイブロニックモデルによる数値計算の結果、観測された発光スペクトル形状、とくにその偏光依存性まで含めて、良く再現されることを見出した。また、クラスターモデルを越えて、電子のバンド内遍歴性まで取り込んだ定式化を行い、1次元モデルに対する予備的計算を行った。その結果、発光スペクトルの励起エネルギー依存性をうまく説明できることが判明した。
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Research Products
(7 results)