2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14077217
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藪下 聡 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50210315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 道彦 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (40276415)
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Keywords | コヒーレント相互作用 / 量子制御 / 局所制御理論 / トラッキング / 波束動力学 / 複素座標法 / フロケ描像 / 進化的アルゴリズム |
Research Abstract |
これまで、高強度・非定常レーザーと分子のコヒーレントな相互作用を利用して分子を目的の量子状態に遷移させる「量子制御」において、量子系の運動方程式の形を考慮し各時刻での系の波動関数のみを用いて局所的に制御場を設計する一般的な制御理論を構築してきた。今年度は特に以下の研究を行った。 (1)波束の運動の制御対象を終時刻のみならず中間の時刻においても考慮することにより、全時間領域における波束動力学の制御を試みた。「レーザー場が存在しない状況下で時間発展し終時刻で望みの量子状態に一致する波束」を導入し、評価指数を定義した。また、トラッキングの目標として時間発展する目標波束を複数個用意し、それらと現在の波束との重なりが単調増加する様にレーザー場の設計を行った。評価を行う際に初期状態に近い目標波束に小さい重みを、終時刻に近い波束に大きな重み割り当てることにより、評価指数の単調増加が波束のトラッキングに対応するように設定することが可能になった。フッ化水素分子のモデル系でシミュレーションを行い、本手法が波束のトラッキングを実現するレーザー場の設計に有用であることを示した。 (2)電子励起過程を利用した振動波束制御を可能とするレーザー場の設計理論を開発した。フロケ描像の下で定式化しパルスのエンベロープのみを最適化の対象とし、計算量を大幅に軽減した。また、進化的計算手法を用いてレーザーのパラメータの最適化を行い、同位体分子の選択的励起に適用した。 (3)振動数依存分極率を変分的に求め、その虚数部分から断面積を求める方法の実用性を調べた。水素原子の1s→kp,2p→kd,2p→ksに対する光イオン化を取り扱い、基底関数としては、STOおよびGTO型を用いて基底関数に含まれるパラメーターを最適化し、解析解と良く一致する光イオン化断面積を得た。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Sugawara: "General formulation of locally designed coherent control theory for quantum system"J.Chem.Phys. 118. 6784-6800 (2003)
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[Publications] M.Sugawara: "Tracking of wave packet dynamics by locally designed control field"Chem.Phys.Lett. 378. 603-608 (2003)
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[Publications] Y.Asano: "Theoretical study on novel quantum yields of dithienylethenes cyclization reactions in crystals"THEOCHEM (J.Molec.Struct.). 625. 227-234 (2003)
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[Publications] Y.Asano: "Theoretical study of nonadiabatic transitions in the photodissociation of Cl_2 and Br_2"Chem.Phys.Lett.. 372. 348-354 (2003)
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[Publications] Y.Asano: "Theoretical study on the nonadiabatic transitions in the photodissociation of Cl_2, Br_2, and I_2"Bull.Korean Chem.Soc.. 24. 703-711 (2003)
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[Publications] K.Takahashi: "Theoretical Analysis on the Fundamental and Overtone OH Stretching Spectra of Several Simple Acids and Alcohols"J.Phys.Chem.A. 107. 11092-11101 (2003)