2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14077217
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藪下 聡 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50210315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 道彦 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (40276415)
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Keywords | コヒーレント制御 / デコヒーレンス / 位相制御 / 量子ゼノン効果 / ラビ振動 / 複素座標法 / 光イオン化 / 複素基底関数 |
Research Abstract |
1.観測・デコヒーレンスを利用した量子制御 能動的にデコヒーレンスを起こさせる手段として量子系における観測操作に注目し、「位相をそろえる」というコヒーレント制御的な操作と「位相を破壊する」という観測操作をうまく組み合わせることによる新たな量子制御の可能性を調べた。特に、量子系の観測操作に対応する量子力学的演算子の定義、観測操作下における量子状態の時間発展を記述する運動方程式の導出及び計算方法を確立した。簡単な2準位系モデルに応用し、観測によって量子系の運動が抑制される量子ゼノン効果を確認した。Λ型3準位モデルにおいて、例えば、準位3を極端に頻繁に観測することで、準位1-3、準位2-3間のコヒーレンス破壊による準位3への遷移の抑制と、準位1-2間のラビ振動を確認した。さらに、ラビ振動を1-2間から2-3間へ移動させる逐次的な分布移動が可能であることを示した。また、断熱通過を利用した分布制御の機構も、デコヒーレンス過程と観測を同義とみなすことにより、逆量子ゼノン効果として解釈できることを明らかにした。 2.複素座標法と振動数依存の分極率に対する変分原理を用いた光イオン化断面積の計算 例えばs対称性をもつ連続状態に対して、N^S_1 exp(-ζr)+N^S_2r exp(-ζr)の複素基底関数を用いることで複素座標法の適用範囲の拡大及び精密化を行った。この基底関数は、共通の複素軌道指数を持ち、変分パラメータは1個であるという点で、以前の計算と同様であるが、表現能力としては優れた特徴を持っている。例えば、2s→kpのイオン化に対して、複素STOを1個用いた場合、イオン化断面積の解析解を大きく過小評価していたが、2p-3p型の複素STOを用いた結果は解析解の傾向をよく再現した。このような有用性は複素GTO基底関数を用い場合にも同様で、複素GTOが複素STOと定量的にもほぼ同等な結果を与えるということを確認できた。
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Research Products
(7 results)